2012年12月23日日曜日

スーパーあぶない刑事31話


     『出世頭』


ある日。
大下真琴は昇級試験を終わらせて署に帰って来た。
付き添いで父・大下勇次が同行した。
帰って来るなり真琴がうなだれた。




大下真琴「あ~もう頭痛い!」
近藤卓造「署長、お疲れ様です」
吉井浩一「昇級試験どうでした?」
大下真琴「どうでしょうね」






吉井の質問に他人事のように答える真琴に一同は目を丸くした。





村木拓「署長ならきっと受かります」
原田実「俺も信じてます」





真琴はミルクココアを入れながらニッコリ笑って・・・






大下真琴「ありがとう」





と言った。






遠山金之助「試験は難しかったですか?」
大下真琴「う~んそうですね・・・ダメかも」






劉警部と秦奔刑事も真琴に近寄って来た。





徳川吉之「この後、パトロール行くだろ?」
大下真琴「はい、これ飲んだら行きます」





最近、ワルの中に武術を使う者が増えて来ていた。
これまでも空手・テコンドーといった使い手たちが出て来ている。






大下真琴「よっしゃ行きますか」






熱いココアを一気飲みするとショルダーバッグを提げて出て行きました。
廊下で真琴の声が響いた。






大下真琴『ア゙ッヂィ~~!!』
大下勇次「あ~あ、大丈夫か?」





真琴は両手で胸をさすりながら・・・






大下真琴「あ゙~OK!」




良い子は危険ですので熱い飲み物の一気飲みはやめましょう。
劉警部や秦奔刑事らも着いて行きます。
真琴の指示で行き着いたのはティスコ・
ASTROだった。






村木拓「ディスコ・ASTRO、なんかウルトラマンに出て来そうな名前」
大下真琴「レオの弟でアストラっているよ」
藤村亮「へぇ、ウルトラマン好きなんだ」
大下真琴「うん、一番好きなのはゾフィーなんだ」
村木拓「ゾフィーは知らないなぁ」
鷹山敏樹「ねぇ、中に入ろうよ」







鷹山につっこまれた三人は笑いながら中に入りました。





本城慎太郎「さすがに昼間だから客いねぇな」
徳川治樹「分かれて行こう」
町田透「そうですね」






真琴は治樹・慎太郎とカウンター席に座った。
近場のテーブル席には劉警部と秦奔刑事・勇次・タカが座った。
人では吉井・田中を始め谷村・村木たちが待機しています。
すると前方からチンピラ風の男数人入口までやって来た。






谷村進「なんか悪そうな奴らが入口に集まって来てますけど」
青木順子(声)『本当、いつの間に!?署長、チンピラ風の奴らがそっちへ入って行きます」
大下真琴(声)『OK、確認しました、確かにワルそうね』






すると鷹山が一人の男を見て・・・






鷹山敏樹「竹中だ、ヤバイのが来たな」
大岡忠利「捜査資料で見た、武道派で気が荒い奴だっけ」
大下勇次「しかも一緒にいる奴ら、秋庭貴幸と柴竜までいるじゃないの」






あきばたかゆき・しばりゅうと読みます。
ちなみに竹中は勝といいます。
真琴は何から始めようかと冷静に考えていた。





徳川吉之「奴らに気づかれるのは避けたいものだな」
徳川宗明「こっちに気づく前に行動を起こさないと・・・」
大下真琴「よし、これしかねぇ、劉警部と秦奔刑事は万が一の時のために出入口の前で待機して下さい」
秦奔刑事「分かりました」
大下真琴「実ちゃん亮ちゃんなっちゃんは客を誘導して下さい」
芝夏美「分かりました」
大下真琴「そんじゃ戦闘開始と行こうか」
本城慎太郎「OK、まずは奴らの様子を見ようか」







カウンター席にいる真琴たちは真後ろのテーブル席に座っている竹中たちの方を見た。
幸い竹中たちは自分たちが囲まれていることにまだ気づいていない。
秋庭がジャケットの内ポケットから封筒を取り出して竹中に手渡した。
ジャケットをめくった時、腰元に拳銃があるのを確認した木葉たち





木葉聡「竹中は拳銃を所持してます」
倉田園子「秋庭も持ってるわ」
海堂進二「柴もだ、抜かれたら確実に騒ぎになる」
大下真琴「実ちゃん亮ちゃん夏美ちゃん速やかに客を逃がして下さい」
原田実「了解、亮・夏美」
芝夏美「はい」






大下勇次と本城が竹中たちを引きつけようと動いた時、秋庭が勇次に気づいて拳銃を抜いた。が・・・






“パン💥”






秋庭「チッ!」






真琴が秋庭の銃をピンポイントで撃ち抜いた。
そこへ劉警部と秦奔刑事が近づいて行った。
竹中・柴・秋庭たちとの格闘が始まった。
すると竹中が指笛を吹いて合図した。
その合図でカウンターのボーイや従業員たちが真琴たちを囲みました。







大下真琴「こっちもグルかい!」
本城慎太郎「まぁそんな気はしてたけどなぁ」





港署で唯一カンフーの使い手の真琴も動き出した。







秦奔刑事「真琴サン、大丈夫デスカ?手伝イマス」
大下真琴「秦奔刑事、助かった、お願いします」






それでも劉警部も秦奔刑事も真琴の強さは知っています。
ユン・ピョウ、じゃなかった劉警部とマイケル・ウォンじゃなくて秦奔刑事も加勢に加わった





柴竜「クソ!このガキ何でこんな強ぇんだ?」






そこへ客を逃がし終えた原田・藤村・芝も戻って格闘に加わりました。






原田実「客以外はみんなグルだったんだな」
芝夏美「実くん藤村くん行くわよ」
藤村亮「おうよ!」







透と谷村は店員に手錠を懸けていた。







大下勇次「おとなしくしろ!オラ」
吉井浩一「あ~早速大暴れしてるよ」
田中文男「よし、俺たちは連行して行こう」







と、田中が言うと吉井もうなずいてバタバタ倒れて来る輩から手錠を懸けて連行して行きました。






桐原早希「何でこんなチンピラばっかいるの?信じられない」
松田香苗「だから今一番荒れまくってる場所だったのね」
大下真琴「竹中、てめぇ二度とシャバには出られねぇぞ」
竹中「ぬぅぅぅぅっ・・・」





悔しそうに唇を噛む竹中は谷村たちに連行されて行きました。
とりあえず危ない奴らを一掃することに成功した。
跡の始末は駆けつけた県警の刑事が来てやると言うので任せて真琴たちは撤収しました。






寺西刑事「大下さん、跡は任せて下さい」
大下真琴「寺西刑事!お願いします」
寺西刑事「おい、連行しろ」
刑事たち『はい』




県警の寺西刑事たちに身柄を引き渡し
会釈をして真琴たちは店を出て行きました。





十文字隼人「署長、宮本課長が至急戻って下さいと言ってます」
大下真琴「はい、何だろう?」
十文字隼人「試験の結果が出たそうですよ」
大下真琴「マジ⁈分かりました、すぐに戻ります」





治樹の覆面パトカーに乗って署に戻りました。






武田英彦「あっ、署長これがさっき下のポストに届いてました」
大下真琴「ありがとうございます」






真琴は武田から封筒を受け取るとペーパーナイフでキレイに開けました。






大下真琴「大下真琴昇級試験結果、此れに示す合格したことを告げ、今後ますますのご活躍を期待し候、だって」
松村優子「合格した!キャ~すごい」
山路瞳「うわぁ!おめでとうございます」
大下真琴「ありがとうございます」





署内は大騒ぎになりました。
跡から戻って来た本城たちも結果を聞いて大喜び!






村木拓「やりましたね!すごい大出世ですよ」
吉本和彦「ホンマですわ、こりゃ俺たちも鼻が高いです」





勇次が真琴を抱きしめた。





大下真琴「お、父さん・・・」
大下勇次「よく頑張ったな、すごいぞ、うちの出世頭だ」
     おめでとう
    ゴンシーゴンシー 
劉警部「恭喜、恭喜マコトさん」
大下真琴「劉警部、ありがとうございます」






少年課からも拍手が湧きあがった。
同日、新しい警察手帳が港署に届きました。





山路瞳「署長宛に速達で荷物が届いています」
大下真琴「は~い、すいません」






真琴は瞳から封筒を受け取ると封を開けて中身を取り出した。
中身は新しい警察手帳だった。






高野小次郎「おおっ開けてみろよ」
大下真琴「うん、ウフフフ♪」






ページをめくると大下真琴警視長と記されていた。





大下薫「本当に受かったんだね」





薫が真琴を抱きしめた。






大下真琴「母さん、署の中ではやめろよ」
青木順子「あら反抗期かしら・・・」





薫は真琴の頭を撫で回す。





大下真琴「さて、報告書を書くとしよう」





真琴は机に座って原稿用紙に字を書き始めました。
捜査報告書です。
十枚にも渡る文章を三人分書き上げます。





徳川吉之「今日は一緒に行くよ」
大下真琴「うん、ありがとう」





真琴は捜査資料と照らし合わせながら書き込んで行きます。
ページ数まで書き終えるとホッチキスで綴じて封筒に入れた。
それを三回繰り返してようやく席を立ちました。





大下真琴「よし、提出しに行きますか」





吉之と治樹が付き添って車を出してくれました。
まずは県警の緒方本部長のところへ





緒方雄一「やぁ、昇級試験合格おめでとう」
大下真琴「ありがとうございます」
緒方雄一「それと11歳になったんだよね」
大下真琴「はい、ってあ、そうでした明日誕生日です」
緒方雄一「あっ明日か、でも最高の誕生日プレゼントだね」
大下真琴「はい」





一方、港署でも・・・




松村優子「ねぇ、明日って真琴くんの誕生日じゃない?」
真山薫「そうなんですよ」
徳川吉之「あ、里菜と家吉もだ」





忘れてたんかい!





徳川宗明「えっ署長とお前のとこの双子同じ日が誕生日なの!?」
原田実「知らなかった、本当三つ子と言われるわけだ」
風間明「本当、そうだな」





勇次はタウンページで近場のレストランを調べている。





大下勇次「やっぱ予約した方がいいかな?」
鷹山敏樹「別に予約しなくていいんじゃない、そんな混まないだろう」
徳川宗明「いや、週末は混むぞぉ」





と、言う宗明の方を観て勇次は・・・





大下勇次「やっぱ予約しようっと」





勇次は署の電話から日にちを指定して食事を予約した。
宿直は本城と村木の担当だった。
それ以外はみんな帰宅した。
大下たちも帰って行き本城と村木の二人だけになった。
しかし、この夜はめずらしく通報がなく
静かな夜を過ごせたのだった。



つづく。

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