2012年12月18日火曜日

スーパーあぶない刑事19話

    『分家・尾張宗明登場』  


この日、同じ顔が港署の前にいる


緒方雄一「ここが港署です、署長は・・・いるかどうか?
徳川宗明「えっ?まぁいいや案内して下さってありがとうございました」
緒方雄一「いいえ同じ顔の人に会ったのが初めてで少々とまどっていますが」
徳川宗明「な~にすぐに見慣れますよ、じゃ失礼します」




片方は県警に帰って行き、もう片方は港署に入って行きました。
この男、徳川分家の宗明警部、今日から港署に配属することになったのです。
その頃港署の中では・・・





大下勇次「はい報告書できました」
近藤卓造「よろしい、行ってよし」
大下真琴「えっ分家?じゃまだ徳川さんって人がいるの?
徳川吉之「水戸と尾張にな、その中で一人刑事やっている人がいるんだ」
真山薫「へぇ~本当にいるんだぁ」




その瞬間、御三家の一つ尾張の男が今日の主役です。



徳川宗明「御免下さい、京都府警から来ました徳川です」




その声に素早く反応したのは治樹だった。
治樹は立ち上がりその男の顔を見た。
そして宗明も治樹を見ました。




徳川宗明「ハルさんじゃない!元気?
徳川治樹「ムネさん、どうして京都府警にいるんじゃなかった?
徳川宗明「あんたが恋しくて移動願い出したのよ」
徳川治樹「あっ紹介しなきゃ、来て」




治樹は宗明をまず真琴の所に連れて行きました。




徳川治樹「宗さん、うちの署長」
徳川宗明「あら、本当に双子にソックリ!初めましてと言うのも変か、今日からお世話になります徳川宗明です」
大下真琴「署長の大下真琴です、本当、本部長ソックリ!びっくりしました」
徳川宗明「ハハハ!そう俺もビックリしたもん」




遊び人の宗さんが帰って来た。
吉之はちょっと引いている。
それは本城たちも同じであった。



青木順子「あのぅ、それで治樹さんとはどういうご関係で・・・?
徳川宗明「徳川家で言うと、俺の家は分家になるんだ、宗家はこの二人、なのに二人とも家を継がないなんて何考えているの?
徳川治樹「いや、吉之が継いだよん」
徳川宗明「なんだそうなの? よかったじゃん」
徳川吉之「いいもんか、俺は次男なのに」




と、吉之は治樹を睨むが治樹はニコニコ笑って吉之の肩をポンポンと叩いた。




徳川宗明「あっ、お宅の子供たち元気?
徳川吉之「元気だよ、特に娘の方がね」
徳川宗明「へぇ~相変わらずジャジャウマなの?
徳川吉之「うん、息子は穏やかだけど双子なのに性格が正反対だよ」




と、吉之が説明しました。




大下真琴「ヒマだなぁ・・・慎太郎、何かおもしろいとこない?
本城慎太郎「何がしたい?それにもよるけど」
町田透「はいシャバに出てナンパしたい」
大月半蔵「刑事の言うセリフとは思えない」



半蔵に言われ透は下を向いた。



原田実「それしか頭にないのかお前は」
町田透「ない、だって彼女がほしいんだもん」
村木拓「ハァ~無理無理」
町田透「ちょっと村木さんまで〜ひどい」



ちょっと乙女チックに落ち込む透だった。




徳川宗明「女と言えば、うちの女房なんかさ手足がまっちろくて細くて美人なのよ」
徳川吉之「結婚したの?初耳なんだけど」
徳川宗明「うん、去年結婚したの、でも恐いの」
芝夏美「どんな人なんですか?




みんな宗明のとこに集まって行きました。
宗明は奥さんとの馴れ初めから話してくれました。



徳川宗明「京都で茶屋をしていた女なんだけど、ちょっといろいろあってね」




どうやら訳ありのようだ。
しかしズバリ聞いたのは・・・



大下真琴「訳ありってヤバイ店で働いてたとか?
徳川宗明「いや前の亭主が彼女を借金の肩に売っちまってね、俺そいつをぶん殴って彼女の借金を俺が返したんだ」
徳川治樹「いいとこあるじゃない、宗さん」
徳川宗明「それで世間体を気にする彼女にプロポーズしてこの間籍を入れたのよ」




自慢気に話す宗明にみんな感激していました。



真山薫「かっこいい!優しいんですね」
徳川宗明「まぁね、ハハハ!




話が盛り上がったとこにブザーが鳴り、河野良美の放送が流れました。



河野良美「ポートヴィラ元町で女性の遺体が発見されました。至急向かって下さい」
大下勇次「よし行こう」



全員出動しました。
ポートヴィラ元町では制服の警官が三・四人待っていました。



本城慎太郎「どうもどうも、ごくろうさん」
巡査A「中へどうぞ」
大下真琴「全員は入れない、谷村さんたちは聞き込みに行って下さい」
谷村進「はい」




谷村は吉田・吉本・村木・木葉・海堂たちと聞き込みに出ました。



吉井浩一「ナイフで心臓を一突きだ」
田中文男「争った形跡はないが絵画のガラスが割れている」
原田実「犯人が割ったんですかね?
田中文男「う~ん多分な」
松田香苗「顔見知りの犯行かもね」
本城慎太郎「なぜそう思う?




本城に聞かれた香苗だがすぐに答えました。




松田香苗「争った形跡がないことが一つ、もう一つは服装は乱れているけどさほど抵抗していない」
倉田園子「そうね、署長はどう思います?
大下真琴「香苗さんと同意見、もっと言えば犯人は女だと思う」
海堂進二「なぜそう思うんです?
大下真琴「この割れた鏡はわざと割ったな、男に殺されたと思わせるために」




と、言うと真琴は部屋の中を歩き回った。
鷹山たちは真琴を目で追いかけます。



徳川吉之「犯人が女だとしたら怨恨の線で捜査するか?
大下真琴「ちょっと待って」



プロファイリング中の真琴。
そして決断しました。




大下真琴「いや違う、犯人は男と女二人だ、刺したのは女で鏡を割ったのは男」
大下勇次「この傷だと犯人も手にケガをしているかもしれないな」



と、勇次が言った。



徳川治樹「この近辺の病院を当たってみよう」




現場は鑑識に任せて大下たちは病院を片端から聞き込んで行きました。
そして男の手を手当てした病院が分かりました。




藤村亮「鷹山さん、こっちです」
鷹山敏樹「どうだった?
吉本和彦「当りです手に傷負った男が女と来たそうです」
吉井浩一「それで顔は?
藤村亮「今、忠利さんにモンタージュを書いてもらっています」



病院にいる青木と忠利のところに本城が向かいました。



本城慎太郎「どうですモンタージュの方は」
大岡忠利「今書き終わった、看護婦さんの証言した男と女の顔がこれだ」




忠利がスケッチブックを見せました。




看護婦「ソックリです、この二人です」
大下真琴「手にガラスは刺さっていましたか?
看護婦「いいえ、出血はひどかったですけど傷はそれほど・・・包帯は巻きましたけど」




看護婦さんはその時の二人の様子を詳しく話してくれました。
真琴は署に連絡して指示を出しました。




大下真琴「あ、宮本課長緊急配備をお願いします」




港所側では宮本課長がメモを取りながら返事をしました。



宮本謙「はい、手に包帯を巻いた男と女ですね、はい分かりました」



病院からファックスでモンタージュを署に送りました。
それを武田が受け取りすぐに手配をしてくれました。
そして大下たちは・・・




村木拓「さて、どこから当りますか?
大下真琴「そうね~」



と、呟くと真琴は人差し指を舐めて天にかざした。




大下真琴「あっちから行ってみよう」
松田香苗「ウソ!ありなの?アレ」
桐原早紀「いいから行くわよ、木葉くん」




徳川たちもバラバラになって捜査を開始した。



徳川治樹「署長、宗さん行こう」
徳川宗明「えっあ、うん」




宗明は真琴を見て首をかしげました。
覆面パトカーに乗って周辺を回りました。




徳川宗明「あんたおもしろいね」
大下真琴「そうですか? だいたいこんな感じですよ」
徳川宗明「なるほど緒方本部長が気に入るわけだ」
大下真琴「本部長が・・・なんて言ってました?




と、真琴が聞くと宗明は笑いながら・・・




徳川宗明「見ていれば分かるって」
徳川治樹「当たり百聞は一見に如かず。宗さん今日はしっかり署長を観察するといいよ」
徳川宗明「そのつもり」




真琴は窓から人指し指を出しました。



大下真琴「ハルちゃん次の信号右に曲がって」
徳川治樹「ハイハイ、この方向ってチャイナタウンじゃない」
大下真琴「うんサンルーフ開けるね」



真琴は上窓を開けて顔を出した。
そこへ青木と村木から無線連絡が来ました。



青木順子「青木ですホシの身元が分かりました。ジェニー・チャン、香港人です女の方は進藤夕紀。二人は先月に日本に入国しています」
徳川治樹「香港と日本、この二人はどうゆう関係なんだ?
村木拓『それと被害者の身元は李雲仔26才香港人です』
本城慎太郎「密入国者か」
村木拓「いいえ、実と亮が成田に問い合わせて確認を取りましたから」
大下勇次『二人は日本に何しに来たんだ?
村木拓「そこまではまだ、足取りを追います」
大下勇次「大下了解」
本城慎太郎「本城も了解」




真琴と治樹と宗明は推理中です。



徳川治樹「三角関係の縺れかな?
大下真琴「ナイフで刺し殺した以外は外傷がない争った形跡もなかった」



真琴は頭を抱えています。



徳川治樹「他に外傷がなかったということは三人は友人関係だったとか」
徳川宗明「日本人と中国人が二人、一体何者なんだろうな?



武田から無線連絡が入りました。



武田英彦「武田だ、二人の男女が中華街の北京飯店にいるという情報だ、すぐ向かってくれ」
全員『了解』




全員元町中華街の北京飯店に急行しました。
北京飯店の入り口ではすでに海堂たちが来ていました。




大月半蔵「二人組を確認しました、男の右手に包帯が巻かれています」
鈴村皐月「似顔絵の男女に間違いありません」
吉井浩一「どうします?踏み込みますか?様子見ますか?



吉井に聞かれて真琴は少し考えてから答えました。




大下真琴「聡さんと早希さんで中の様子を探って来て下さい」
桐原早紀「分かりました」



木葉も頷きました。
聡と早紀は北京飯店の中へ入って行きました。




進藤夕紀「来るんじゃない、来たら殺すよ!
木葉聡「銃を捨てろ、逃げられないぞ」
ジェニー・チャン「你同我呀!
大下真琴「うるさいだって、ヤキ入れちゃおうか」




そこへ吉之たちも駆けつけて来ました。




徳川吉之「人質の救出が先だ、真琴何か手はないか?
大下勇次「香港でジャッキー・チェンにカンフー習ったんだろ、あいつを引きつけておけないか?
大下真琴「ヤキ入れていい?



と、言う真琴はやる気満々です。



町田透「いいですよ、やっちゃって下さい」
本城慎太郎「俺も手伝おうか?
大下真琴「まぁまぁ見てなって」




真琴が男の前に出ました。男は女を奥に行かせた。
さぁジェット•リー直伝のカンフーを見せる時です。




ジェニー・チャン「!小子」



ジェニーチャンの言葉に顔を顰めながらも構える真琴。




ジェニーチャン「ハイ・ヤー!



ジェニー•チャンが技を使って攻めて来ます。
だが真琴はそれを上手く躱しています。



ジェニー・チャン「差!个小子」
大下真琴「ハァ!




ジェニーチャンの鳩尾に蹴りを入れた。
ジェニーチャンが倒れてうずまっているのを見て女の顔色が変わった。




進藤夕紀「バカな、ジェニーはカンフーの達人なのに」
徳川宗明「すごいじゃん、あの子」
徳川吉之「フッ、やるなぁ」



その女の方に本城と村木が近づき本城が人質を奪い返して村木か女を取り押さえた。
ところがジェニーチャンが立ち上がろうとしていた。



海堂進二「署長、後ろ!」
大下真琴「やめておけ、さっきので分かったろう、お前に勝ち目はない」



言葉が通じたのかジェニーは手を挙げて降参の意を示した。
海堂がジェニー•チャンに手錠をかけました。




原田実「署長、みんな驚いていますよ、すごい強くなったって」
大下真琴「ありがとう、後は文ちゃんに任せよう」



署に戻ると田中が一人ずつ取り調べました。
他の者はお茶やコーヒーを飲みながら報告書を書いています。
真琴もいつもの通り三人分の報告書を造っています。




徳川治樹「宗さん、どうようちの署長」
徳川宗明「思っていた以上だね、大人顔負けの鋭さを持っている、それに冷静だしね」
大下勇次「褒めていただきありがとうございます」




お礼を言って頭を下げる勇次。



徳川宗明「気に入った、署長のこと」
藤村亮「きっともっと好きになると思いますよ」



と、亮が言うと本城たちも頷いた。



大下真琴「何してんだお前たち、早く報告書を提出しろ💢」
本城慎太郎「ハ~イ、怖いね」




武田が目を丸くしている。
いつも自分が若い者たちを怒鳴っているので
署長が怒鳴っているのを初めて見たからである。
宮本課長はクスクスと笑っています。




大下真琴「よし出来た、治ちゃん車出して下さいな」
徳川治樹「いいよ、宗さんも一緒にどう?
徳川宗明「行く行く、お供します」




治樹と宗明は真琴と共に県警と警視庁へ行ってくれました。



緒方雄一「お疲れ様、前回のも読みました、あなたは本当にすごい」
大下真琴「そんなお恥ずかしい限りです」
緒方雄一「そんなことない、リーダーシップは取れているし立派だよ」




本部長に誉められた真琴は赤くなっている。
そして大原警視長には・・・



大原功一「ごくろう様です、読ませてもらうよ」




大原警視長は真琴たちの目の前で報告書を読みました。
ときどき頷きながら読んでいます。



大原功一「香港警察にはこっちで連絡を取ります」
大下真琴「よろしくお願いします」
大原功一「犯人引き渡しもこっちでやります手柄を取るようなことをして申し訳ない、向こうにはちゃんと話しておきますから」
大下真琴「分かりました、大原さんにお任せします。よろしくお願いします」




大原警視長に頭を下げる真琴。
あいさつをして真琴たちは次に浅見刑事局長のオフィスに向かいしました。
扉をノックして中に入りました。




浅見陽一郎「大下署長、どうぞ待ってましたよ」
大下真琴「これが今日の報告書です」



真琴は報告書の入った封筒を手渡しました。
浅見刑事局長は封筒を受け取り中身を取り出して読みました。




大下真琴「本当、作文みたいですよね?恥ずかしい」
浅見刑事局長「いや分かりやすくていいよ、君のリーダーシップは買ってるよ」
大下真琴「ありがとうございます」
浅見陽一郎「徳川さん、これから彼の下でいろいろ学んで下さい」
徳川宗明「はい、今回もそれなりに勉強になりました」




宗明の言葉を聞いて浅見刑事局長は頷いた。




浅見陽一郎「大下さん、これからも港署を頼みますよ」
大下真琴「はい、任せて下さい」



大下たちは刑事局長室を出ました。




徳川宗明「しかし、署長がここまで信頼されているとは、正直恐れ入りました」
大下真琴「いやいや、まぁ頑張ってついて来て下さい」
徳川治樹「平気だよな、宗さん」
徳川宗明「ああ、せっかく仲間に入ったんだ何でもやるよ」




宗明は胸を張って言いました。
真琴は笑顔でうなずきました。治樹も笑っています。
署に帰ると課長陣が帰るところでした。




近藤卓造「あ、署長お先に失礼します」
大下真琴「お疲れ様です」
宮本謙「お先に失礼します」




真琴もデスクで帰る準備をしています。
大下と鷹山が真琴のデスクに来ました。




鷹山敏樹「署長、片付いた?
大下真琴「うん、帰ろうか」




薫も合流して四人で帰りました。
他の刑事たちもそれぞれ帰る支度をしています。
本城たちとは下まで降りて来て玄関の前で別れました。




大下薫「真琴、今日もお疲れさま」
大下真琴「父さんと母さんもね」
大下薫「帰ろう」


つづく。

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