2012年12月23日日曜日

スーパーあぶない刑事29話



         『一網打尽』


この日、港署には宮本課長、近藤課長、武田英彦、大岡忠利、遠山金之助
そして大下署長がいました。
他の刑事たちはパトロールでいなかった。
少年課の刑事たちも学区域をパトロールで回っていた。



徳川吉之「最近、ヤクザもおとなしくなったな」
松田香苗「ええ、それもこれもうちの署長のおかげですね」



と、香苗が答えると吉之は笑いながら



徳川吉之「ハハハッ!そうだなデカIQテストで250出すくらいだ、悪いことはできんと思ったのだろう」
木葉聡「そうですね、逆に一般人の犯罪が多くなった気がしますし・・・」




確かに、ただ暴れるだけのギャングと違って本当に厄介な連中は静かにしている様子。




本城慎太郎「本当、横浜ってこんなに穏やかな街だったか?
村木拓「ねぇ、信じられない平和そのものだ」



午前中、本城たちは横浜の平和を噛みしめていた。
同じ頃、マリナード地下街で暴行事件が起きていた。
数人の少年がオヤジ狩りをしていたのだ。
本部の河野良美から無線で指令が入った。



河野良美『マリナード地下街で暴行事件発生、至急現場に向かって下さい』
徳川治樹「了解、ここからだと近いな」



サイレンを鳴らして現場に向かいました。
本城・大下・田中の覆面パトカーもUターンして現場に急行した。
先に着いたのは真琴たちでした。



徳川宗明「あれだ、ヒデーことしやがる」
大下真琴「行こう」



治樹たちは袋叩きにしている男たちに近づいて行きました。



徳川治樹「警察だ、その人から離れろ」



男たちは真琴たちに気づいて振り返った。



Aリーダー「たったの三人か・・・」
大下勇次「こっちにもいるぞ」



反対側から勇次たちが来ると一瞬怯んだもののまたすぐに暴れ始めた。



リーダー「やっちまえ!



リーダーの男の合図で次々と大下たちに向かって行く不良たち
順子たちも駆けつけて倒れている男性を助けてパトカーに乗せました。



青木順子「もう大丈夫ですよ、警察です分かりますか?
谷村進「ひでぇな、これは」



男性の左目が膨れ上がっている上ひどく腫れていた。
両頬も青くなって出血していた。
夏美がハンカチで止血しようとする。



藤村亮「やったのはあいつらか*」
原田実「順子さんと夏美はこの人を頼みます」
青木順子「任せといて、夏美」
芝夏美「はい、もう大丈夫ですよ」



しかし男性は反応はあるものの血だらけで横たわってしまった。


徳川吉之「彼は大丈夫か?



吉之が青木たちに声をかけた。



芝夏美「出血していますが何とか」
青木順子「でもひどい腫れ具合です」



鷹山たちは男らをぶっとばして行く。



本城慎太郎「お前らにも同じ目に合わせてやる」
村木拓「倍返しだ、この野郎」
大岡忠利「やり過ぎるなよ」
大下真琴「それは保証できないよ」



不良を殴り飛ばしながら真琴が答える。




吉井浩一「署長が一番あぶないんだよなぁ」
吉田春彦「そうなんですよね、完全に怒ってますしね」



海堂たちは手錠を掛けてパトカーに乗せて行った。



倉田園子「あともうちょっと、しかしこの絵図らは凄過ぎだわ」
鈴村皐月「人数も多いですしね」
吉本和彦「これが最後の一人です」
大下真琴「あ~すっきりした、はい撤収」




署に連行して行きました。
被害者の男性は救急車で病院に運ばれました。
顔は痣だらけで体にも痣はあるものの命に別状はないと医者の診断が出た。
それを夏美が大下たちに無線で報告した。
港署に戻った本城たちは・・・




本城慎太郎「ほとんど真琴が一人でぶっとばしちゃったもんな」
大月半蔵「よく言うぜ、お前たちだって大暴れしたじゃないか」
大岡忠利「ハハハ!そうだな」




本城はペコッと軽く頭を下げた。
最近、港署関内で不良グループによる親父狩りが多発していた。
そしてまた河野の放送が入った。



河野良美()「港署に出動要請、山下公園で暴行事件発生、直ちに現場へ急行して下さい」
吉井浩一「またかよ、一体どうなったまったんだ?
町田悠斗「行きますよ、ホラ」
近藤卓造「頼みます」




捜査課全員で現場に向かいます。
山下公園で数人の男たちが一人の男性をメッタメタに殴っていた。



谷村進「くぉらぁ!!怒るよォォ!



谷村がジャンパーを脱ぎ捨てて歩いて行く。
男たちは20代前半から10代の後半といった感じだ。
谷村に気づいて手を止める男たち
そのうち三人が谷村に殴りかかっていく。



谷村進「ホ~ォ、ウァチャ!アチョウ!
青木順子「ちょっと見てようか」
原田実「そうですね」



谷村に向かって次々と飛び掛っていく男たち
だが弾き返して一人ずつ殴り飛ばして行く谷村。



谷村進「アチャ~!
町田透「すげぇ!谷村さんこれなら一人でやっちゃいそうですね」
大下勇次「いいぞ谷村、行け行け!
谷村進「オイッス!ウォチャア!



谷村にバッタバッタと倒されて行く男たちに透かさず手錠を掛けて行く本城たち。
最後の一人を倒してまたジャンパーを着る谷村。




大下真琴「お疲れ様でした」
海堂進二「すげぇな、映画のワンシーンを見ているみたいだった」
倉田園子「本当ね、素敵だったわよ、谷村くん」
谷村進「ありがとうございます」




倉田姉さんに褒められて谷村は照れています。
被害者の男性は救急車で運ばれて行きました。



徳川吉之「ふ~む、なぜ立て続けに暴行事件が起きたんだろうな?
徳川宗明「俺もそれ不思議に思ってた、偶然かなぁ?




大下たちはとりあえず署に戻って待機することにした。
署に戻ると、松村課長が真琴の所に来ました。





松村優子「署長、不良グループって未成年の子供なんですって?
大下真琴「はい、いずれも145の未成年の少年たちでした」
松村優子「中学生!?あ~信じられない」



松村課長は体を震わせた。



藤村亮「まぁ言ってしまえばチーマーですよ、ガキが集団で親父狩りしてるんです」
原田実「今時の子供って何ですぐキレるのかね?
町田悠斗「さぁね、糖分が足りないんじゃん」





悠斗が言うと本城たちは「糖分かぁ」と言いながら納得していた。
しかし騒ぎはこれだけでは終わらなかった。
不良軍団がスターダストで屯っていて何やら企んでいる様子。



少年A「あ~あ、つまんねぇ何かおもしろれぇことないかな?
少年B「学校も行く気しねぇよなぁ」
少年C「金がねぇから遊べねぇ」




その時・・・
一人の不良がサラリーマンは喝上げされた上、ケガまで負わされた。
それから20分後、港署に通報が入った。




吉井浩一「はい、港署捜査課。あ、はい少年課につなぎます、鈴江そっちに電話だ」
鈴江「はい出ま~す」




ボタンを押して受話器を取りました。



鈴江秀夫「はい少年課、ええ分かりました、すぐ行きます」
大下薫「どうしたの?
鈴江秀夫「サラリーマンが不良に襲われて重症だって」
吉本和彦「はい、お手伝いします」
鈴江秀夫「ありがとう、行こう」




六人は現場に急行しました。
現場は本牧小学校の近くでした。
すでに救急車が来ており周囲に人だかりができていた。



大下薫「警察です通して下さい」




岸本と愛川も駆けつけて来ました。




愛川史郎「遅れてすまん」
岸本猛「状況は?
藤村亮「今、害者運ばれて行ったことだ」
愛川史郎「ケガの具合は?
鈴江秀夫「頭を数回殴られていました」



被害者は暴行された上、角材で頭を数回殴られていた。
出血もひどく意識不明の重体であった。




吉本和彦「ひでぇことするなぁ」
岸本猛「でっやった少年たちは?


薫が首を振って答えた。



巡査A「あの道路の角にサイフが落ちていました」
愛川史郎「カード以外は抜き取られているな」
大下薫「お金が目的だったのかしら?
鈴江秀夫「多分ね」




薫たちは目撃者探しから始めました。
学区域で聞き込みをしていると有力な情報が入りました。




藤村亮「本牧高校の学生が?
一般人A「はい、最近この辺りで問題起こしていたんですよ」
吉本和彦「問題とはどんな?
一般人B「店のガラスを看板にいたずらしたりしていましたよ、悪い時は品物を盗む者もいました」



どうやら知る人ぞ知る悪ガキたちだと言うのです。



大下薫「なぜ通報しなかったんです?
一般人「しましたよ、おまわりさんにもここらを巡回してもらってたんです」
鈴江秀夫「そうでしたか、ありがとうございました」
一般人女性「早く捕まえて下さい」




みんなで情報を集めた結果




藤村亮「ガキどもは店の物を盗んだりガラスを割ったり、売り上げを盗んだりもしていた」
愛側史郎「それがエスカレートして一般人を襲って喝上げまでするようになった」




調べた結果少年たちはマリナード地下街で暴行事件を起こしたチーマーだったと
ゆうことが分かった。
目撃者の証言で似顔絵を造った結果、あの時のチーマーたちだったのだ。
その報告は真琴の方にも届いた。




大下勇次「本城さん、これ見て」
本城慎太郎「あっ!あん時のガキ共だ、じゃもしかして」
大下薫「ええ、彼らは本牧高校の学生たちだったんです」
村木拓「マジ?つながっちゃったじゃん」



鈴江たちが高校に聞き込みに行った時、不良グループが外ではチーマーと
言われていたことを聞いたのだった。



原田実「チーマーの正体はこいつらだったのか」
藤村亮「学区域でいろいろ問題を起こしていたらしい」
松村優子「署長、協力してもらえますよね?
大下真琴「勿論です、捜査課もパトロールに出ます」
松村優子「ありがとうございます」



早速少年課と合同でパトロールを開始した。



田中文男「しかし署長も少年犯罪なんだから合同パトロールにしなくてもいいのに」
吉本和彦「そうですよね、少年課の事件なのに何で俺たちまで借り出されなきゃなんないっすか?
大下真琴「今、何て言った?




田中と吉本の発言にブチギレモードの真琴。




吉本和彦「せやから、たかがチーマーでしょ、少年課に任せればいいんですよ」
大下真琴「カズ、てめぇ今からデカ名乗るな捜査から外れろ」
吉本和彦「え゙っ!そんなぁ」
原田実「お前なぁ署長がいつも言ってるだろ、事件に小さいも大きいもないって」
村木拓「たかがなんて言う奴はデカじゃない」




原田と村木にも怒られ本城にすがり付くが・・・



吉本和彦「そんなぁ本城さぁ~ん」
本城慎太郎「お前が悪い、署長の言う通りだ」
大下真琴「うちの署にたかがなんて言うデカは必要ない」




そう言い捨て無線を切った。
治樹と宗明は黙っている。




徳川吉之「そろそろ現場に着くぞ」
大下真琴「いくつかのチームに分かれて、まずは車内で張り込む、いいね」
全員『了解』



現場はスターダスト、そして南と風間組と大月・倉田組には学区域を見張って
もらいました。



大月半蔵「ターゲットの少年たちが現れました」
大下真琴()『引き続き尾行を続けて下さい』
大月半蔵「了解しました逐一報告致します」
大下真琴()『あい、よろしこ』




スターダストと学区域で細めに連絡を交しました。
スターダストを張り込んでいる真琴たちは




大下勇次『中の様子を見に俺とタカで行って来る」
徳川治樹『分かった、気をつけて』



タカとユージでスターダストへ潜入した。



大下真琴「薫、不良どもの顔は分かってんだろうな」
大下薫「モチのロンよ、赤と黒のスカジャンを着ている奴らよ」
風間明『風間です、少年たちが56人店の中へ入って行きました』
南旬一『目印は赤と黒のスカジャンです』




すると丁度スカジャンを着た少年たちが店の中に入って来ました。




大下薫「あの連中よ間違いないわ」
大下真琴「よし、様子を見よう」




店の中にいる鷹山から無線連絡が入りました。




鷹山敏樹「確認した、見張りを続ける』
吉井浩一「了解、署長、後ろから数人店に向かってます」
大下真琴『確認した』
徳川宗明「中には何人いるんだろう?



店内にいる大下と鷹山が報告して来た。



鷹山敏樹『不良たちは全部で10人、店員も含めると15人だ』
本城慎太郎「店員もグルかぁ、厄介だな」
原田実「まぁ有り得ないことじゃないですよね」



そこへ宮本課長から連絡があった。




宮本謙『署長、里菜ちゃんたちがそっちに行くと言っていますがどうしますか?
徳川吉之「学校はどうしたんです?
宮本謙「それが・・・」




と、宮本が言いにくそうにしていると里菜はマイクを引ったくってものすごい
剣幕で怒鳴って来た。




里菜『一体どうなってんのよ!!冗談じゃないよ奴らのせいで学校がメチャクチャになったんだ! あいつら全員ぶっ殺してやる!
徳川吉之「ヒャ~!な、何があった?
里菜「スカジャン着た不良たちが先生たちをボコボコにしてどっか行っちゃったんだよ!
徳川吉之()『それ本当か!?里菜』
里菜『おうよ、おかげで学校は緊急学校閉鎖になっちまったんだよ!
宮本謙『そうゆうことだそうだ』




里菜を宥めながら再び宮本がマイクを取った。




宮本謙『悪いが誰か迎えに来てくれ、このままだと署が破壊されちゃう』
木葉聡「やりそうだな・・・うちのお嬢さんなら」
海堂進二「俺と香苗で行って来ますよ」
徳川吉之「気をつけろよ噛みつくかもしれんから」
松田香苗「心得ています」




進二と香苗が覆面パトカーで里菜と家吉を迎えに行きました。




岸本猛「署長、いつ踏み込みますか?




一方、不良少年たちは人数も増えてますます調子に乗っていた。



リーダー「揃ったな、やるか」



リーダーの合図でチーマーたちは皮の手袋やメリケンを指に嵌め準備を整えた。
色とりどりのスカジャンを着てターゲットを探していた。




大下勇次「またやる気だぞ」
鷹山敏樹「しばらく様子を見よう、里菜ちゃんと家吉君が来るまで」
町田透『了解、あ~壊しまくってますよ』
田中文男「ひどいなこりゃ、うわっ!




始めは伊勢佐木モールで暴れていた。
店の看板の枠のガラス部分を叩き割っている。
メリケンを嵌めているので手に衝撃波ない。
店のシャッターもべコベコに潰している。




徳川宗明「通行人が脅えてるじゃん、行かなくていいの?
大下真琴「まだだ、もう少し耐えて下さい」




そう答える真琴も今にも飛び出して行きそうな雰囲気である。
そこへ海堂たちがようやく到着しました。




松田香苗「ひどい!通行人の人たちがあれじゃあぶないわ」
里菜「間違いない学校で暴れていた奴らよ」
家吉「止めなきゃ」





ようやく真琴が行動を起こした。




大下真琴「いい加減にしやがれ





大声で怒鳴り散らすとチーマーたちは破壊をやめて振り返りました。




少年A「なんだガキ、俺らに言ってんのか?
大下真琴「てめぇら全員務所にブチ込む
本城慎太郎「港署の刑事さんだよ」
少年B「デカか、チッどうする?
リーダー「突破する、やっちまえ!




リーダーの号令で少年たちは大下たちに殴りかかって来ました。

 



里菜「よくも学校を荒らしてくれたな万倍にして返してやる!




里菜・家吉・真琴の三人がまず相手になった。
チーマー対カンフー少年の格闘だ。
中には鉄パイプを持っている少年もいたので真琴たちもステンレスの棒で対抗した。




遠山金之助「カンフーに殺陣もできる彼らは無敵だな」
大岡忠利「並みの相手ならそう簡単にはやられませんよ」
少年C「こいつら何者だ!? 強すぎだぞ」
村木拓「手伝わなくていいんですか?
大下勇次「もうちょっと見ていよう」




三人は10才とは思えないほどの動きで次々とチーマーの少年たちを
ぶっとばして行った。



少年D「カンフー!やっやべぇぞ・・・」
家吉「逃がしはしない」
里菜「愚か者ども刑務所で頭冷やして来な!




母親譲りの啖呵を切ってチーマーたちを凹ます里菜に
見ていた大下たちや先生たちから拍手が沸いた。




徳川宗明「さすが吉くんの娘」
徳川吉之「いや、あの啖呵の切り方は菜美譲りだ」
徳川治樹「確かに・・・言えてるかも」



治樹も菜美が数ヶ月前までレディースだったことは聞いて知っていた。



町田悠斗「かっこいい!いいなぁ俺もカンフー習ってみようかな?
町田透「じゃ、ジャッキーさんたちに頼んでみれば」
町田悠斗「いいのかな?



悠斗が迷っていると・・・




里菜「私たちから頼んであげる」
町田悠斗「本当、いいの?
家吉「もちろん、今家にいると思うし」



そう言うと家吉は真琴に携帯電話を借りて自宅にかけた。




菜美『はい徳川です』
家吉「母さん?家吉だけど」
菜美『あんた無事だったの?
家吉「うん、どうしてそれを?
菜美「さっきニュースであんたらの学校が不良グループに乗っ取られたって言ってたから心配してたのよ』
家吉「あ~そいつらなら今逮捕されたよ、父さんたちに」
菜美『そう、よかったあっやってる、うんそれで?




菜美はホッとした口調で聞いた。




家吉「師匠に替わってくれる?
菜美『あ~ちょっと待ってね』




ジャッキーが電話に出た。



ジャッキーチェン「ハ~イ、イエヨシ」
家吉「師匠、一人カンフーレッスンを頼みたいんですけど、いいですか?
ジャッキーチェン『OK、分かった』
家吉「OK?じゃすぐ連れて行きます」
ジャッキーチェン『ハイ』




現場から直帰で徳川家に向かった。
悠斗は緊張している様子。
透も付き添いで来ました。
その前に真琴たちは署に戻りました。
署の自分のデスクに着くと真琴は報告書を書いた。
本城たちたちも報告書を書いて武田に提出しました。
事件に大きいも小さいもない、真琴の言ったことが
改めて刑事たちの気を引きしめた日だった。



つづく。

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