2015年12月4日金曜日

スーパーあぶない刑事48


『重傷』:重い怪我



前回、銀星会と竜神会の連合組織の会長から幹部・チンピラたちを逮捕した
港署の刑事たち、その報告書を書いて県警と警視庁に提出した真琴。
治樹と宗明の二人と共に警視庁から出て来ると・・・





“バンζ”





大下真琴「うっ!」





治樹と宗明の目の前で真琴が撃たれた。





徳川治樹「署長!おい、宗さん」
徳川宗明「署長!おい誰か救急車、署長しっかりしろ」





治樹と宗明は狙撃者を探したが見つけることはできなかった。
救急搬送されて病院から治樹が署に電話しました。






武田英彦「はい、港署捜査課、あっ治樹さんかどうした?なに!署長が狙撃された?!」






“ガタン!”とすぐに立ち上がったのは大下夫妻と鷹山だった。






武田英彦「分かった、二人は署長に付いていてくれ」
近藤卓造「みんなも病院へ向かってくれ」
刑事たち『はい』






横浜総合病院では徳川治樹と徳川宗明が手術室の前にいました。
そこへパトカーをすっ飛ばして来た大下夫妻と鷹山、そして本城たちが
駆けつけて来ました。







大下勇次「治樹さん、宗明さん!息子は?!」
徳川治樹「まだ手術の最中だ、こんなことになるなんて、悔しいよ」
徳川宗明「申し訳ない、俺とハルさんが傍にいながら防ぐことができなかった」
大下勇次「お二人を責める気はありません、すぐに救急車を呼んでくれたし」
徳川吉之「あの子は強い子だ、きっと助かる、俺たちはここにいるしかない」
徳川治樹「そうだな、大下、鷹山そして薫ちゃん守ってやれなくてすまなかったな」
大下薫「そんな、お二人にはいつも守ってもらって」
徳川宗明「薫ちゃん、ありがとう」






本城たちは立ち上がった。






本城慎太郎「俺たちは署長が撃たれた現場から当たります」
武田英彦「ああ、頼むぞ」






会釈して本城たちは真琴が撃たれた現場へ向かいました。
つまり警視庁の前です。






本城慎太郎「出たところを撃たれたんだって」
吉田春彦「ホシはずっと署長を狙っていたんですかね?」
青木順子「だとしたら計画的な犯行ってことよね」
町田透「そうですよね」





すると大原刑事部長と県警の緒方本部長、そして浅見刑事局長までいました。






青木順子「あの本部長!」
緒方雄一「あ~君たちか、丁度よかったあの子の容体は?」
藤村亮「まだ手術の最中です」
大原功一「どうしてあの子ばかりが辛い想いをしなくちゃならないんだ!あんなにまっすぐで良い子なのに・・・」
徳川治樹「傍にいながら狙撃者を取り逃がしてしまい申し訳ありません」
大原功一「いや、君たちはよくやってくれた、すぐに救急車を呼んでくれたそうだね」
緒方雄一「あの時点ではそれが精一杯だっただろう」
徳川宗明「当然です、人命が一番ですから」






と、言う宗明に大原は大きくうなずいた。
その頃、病院ではまだ手術の最中でした。
そして手術中のランプが消えて中から医師たちが出て来た。






大下勇次「先生、息子は?」
医師A「弾は心臓から外れていました、無意識のうちに上体を反らしたのでしょう、まさに危機一発のところでした」
大下薫「それで?」
医師B「それでも意識不明の重体であることに変わりありません」
大下薫「そんな!どうして?」
大下勇次「先生、いつ目覚めるかは・・・?」






勇次の問いかけに医者二人は下を向いて首を振りました。






医者A「署長の体力次第だ」






医者二人は会釈をして去って行きました。
看護婦たちが真琴を病室まで運んでくれました。





近藤卓造「真琴くん!」
宮本謙「署長!はぁ~」






武田も下を向いています。
病室へ運ばれると勇次と薫が真琴の両手を片手ずつ握った。






大下勇次「ごめんな、守ってやれなくて、ごめん・・・」





敏樹も見つめています。






鷹山敏樹「勇次、俺も勇次と同じ気持ちだから真琴は生まれた時から見て来たんだからな」






医者にはとにかく語りかけるよう言われました。






鷹山敏樹「5才でデカになって、一日署長が今日まで続いてダメな大人たちを必死で引っ張って来てくれた」
近藤卓造「何度も驚かされたけど、楽しかった」







近藤副署長は真琴を見つめながら優しい顔つきです。
そこへ里菜と家吉・菜美に佳南子も慌ただしく駆けつけて来た。







里菜「真琴!」
家吉「大下さん薫さん父から母に電話があってすっとんで来ました」
徳川菜美「真琴さんは?」
大下勇次「手術はさっき終わって成功しました、でも意識がまだ戻らないんです」
里菜「一体誰がこんなことを?」
大下勇次「今はまだ分からない、本城さんたちが現場へ行ってくれた」






すると家吉がなにやらひらめいた様子。
大下にこう言った。






家吉「大下さん、試してみたいことがあるんですけど」
大下勇次「なにかな?」
家吉「本で読んだんですけど一卵性双生児って眠っていても意識が通じ合っているんですって」
里菜「あっ、それ私も読んだ、心が通じ合っているからお互いに見た物が見られるってヤツでしょ?」
家吉「そう、上手く行けば犯人に繋がるなにかが見えるかもしれません」
大下薫「でもそれは双子の場合でしょ?」
里菜「でも私たち10歳の頃通じ合っていました。同じ夢を見たりして」






勇次と薫と敏樹は顔を見合わせた。





家吉「ダメで元々試してみませんか?」






家吉のダメ押しで三人は・・・






大下勇次「やってみよう」





早速、里菜と家吉は真琴の両側に座ると片手ずつ両手で握って目を閉じた。





里菜「真琴、聴こえる?家吉も一緒だよ」
家吉「誰がお前を撃ったのか教えてくれ」






シーンとしています。
勇次たちは半信半疑で見つめていた。
そして・・・






大下真琴(黒い革の手袋してサングラスをかけた男)
家吉「黒い革の手袋したサングラスの男」
大下真琴(俺が倒れるまで見ていた・・・笑っていた)
里菜「名前は?そいつの名前分かる?」
大下真琴(笹本勲、殺し屋だ)
家吉「ササモトイサオ、大下さん」
大下勇次「ササモト?ササモト・・・」
里菜「殺し屋だって」
鷹山敏樹「黒い革の手袋したサングラス、ササモト・・・勇次!」
大下勇次「あいつか・・・」






大下は真琴の携帯を持ってロビーに出て署に電話した。






大下勇次「あっタケさん、ホシの正体が分かりました。笹本勲を指名手配して下さい」
武田英彦「よし、分かった、しかしどうしてホシの正体が分かったんだ?」
大下勇次「それは後で話すと長くなるので」
武田英彦「いいだろう、すぐに手配する」
大下薫「あなた達すごいわ!お手柄よ」
里菜「成功してよかったです」
大下勇次「薫、ここは任せる俺たちは捜査に戻る」
大下薫「OK、絶対捕まえろよ」
鷹山敏樹「もちろん後で誰かをガードに付けさせるから」
大下薫「うん、行ってらっしゃい」






薫たちを病院に残して大下と鷹山は捜査へ向かいました。
笹本のことはすぐに本城たちにも伝えられた。







田中文男「署長の意識が戻ったのか?」
大下勇次『いいえ、ウソみたいな奇跡の話です』
吉井浩一「どうゆうことだ?話が見えないんだが」
大下勇次『後で詳しく話しますよ』






しかし、この時大下たちは病院から出るべきではなかった。
笹本はすでにトドメを刺しに病院に潜入していたのだ。
白衣を着て医者になりすました笹本が真琴の眠る病室に向かっていた。






徳川菜美「二人も少し休みなさい、ここはママと薫さんで診るから」
里菜「分かった、私と家吉は廊下でガードしている」
大下薫「気をつけるのよ」
家吉「大丈夫、真琴のことをお願いします」






と、言って里菜と家吉は病室を出ました。






近藤卓造「あの子たち大丈夫だろうか?」






病室に残っているのは近藤副署長と薫・菜美・鈴江の4人だけです。
そしてついに魔の手が里菜と家吉に襲いかかって来たのです。





笹本勲「検診に来ました」






と、言う笹本に里菜と家吉は・・・






里菜「さっき別の先生が来ましたけど」
家吉「懐に銃を持っている」
笹本勲「ただのガキじゃねぇな」
里菜「銃なんて使わせないよ!」






“ジャキンζ”






里菜と家吉は伸縮性の警棒を抜いて応戦した。





家吉「中には入らせない」
鈴江秀夫「里菜ちゃんたちの声だ」
近藤卓造「まさか!笹本がもう来たのか!?」
里菜『来ちゃダメ!鈴江さんと薫さんは真琴の傍にいて下さい』
大下薫「ムチャよ!」
家吉「それでもやるしかない」
近藤卓造「私が行こう、菜美さんと薫くんは署長の傍にいなさい」
鈴江秀夫「いや、俺が行きます、俺だってデカの端くれだ、守ってみせます」






鈴江が病室を出た。






“ドスン!”





里菜「キャ!」
家吉「イテッ!」
鈴江秀夫「里菜ちゃん家吉くん!」
笹本「まだザコがいたのか」
鈴江秀夫「なめんなよ 」






しかし鈴江も笹本にボコボコにやられてしまい。
笹本はニヤニヤしながら薫たちの方へ近づいて行く





笹本勲「ガキと一緒に死ね!」
鈴江秀夫「やめろ!」






薫たちがもうダメだ!と思って目を閉じると・・・






“バンζ”





笹本勲「う・・・っ誰だ!」
徳川宗明「彼女たちから離れろ!」
徳川治樹「里菜、家吉、大丈夫か?」
家吉「遅せぇよ 伯父さんイテテテ・・・」
里菜「早く、鈴江さんたちが・・・」
徳川宗明「副署長、みんな無事ですか?」
近藤卓造「私は平気だ、鈴江くんが・・・」
徳川治樹「ここは俺と宗さんに任せて下さい」
徳川宗明「笹本はここに来ると踏んで大下たちにも伝えておいた」
笹本勲「クソ!ドケ!」
徳川吉之「そうはいかん」
大岡忠利「我々を甘く見てもらっては困る」






と、徳川吉之と大岡と遠山に忍び組たちも駆けつけて来た。





里菜「来るなら鈴江さんがボコられる前に来いっての パパもだよ!」
徳川吉之「あ~耳が痛い!文句なら後で聞く、今はこいつを捕まえるのが先だ」
遠山金之助「5対1さぁどうする?忍びもいるから13対1か」
家吉「遠山さん、そいつを刺激しちゃダメだ!」
笹本勲「フン、もう遅い」






手榴弾を手にした。





徳川宗明「やめろ!他にも患者がいるんだぞ」
笹本勲「みんな死ねばいい」





“プチンζ”






信管を抜いて投げようとした、その時です。





“バン!”






笹本勲「うぅっ」






笹本が撃たれ手榴弾が地面に落下して行く






“パシζ”





ギリギリで治樹が受け止めた。
笹本を撃ったのは大下勇次だった。






大下勇次「間に合ってよかった」
鷹山敏樹「みんな無事か?」
大岡忠利「ああ、なんとかな一人負傷しているが」






大下と鷹山は鈴江を見ました。





大下勇次「鈴江大丈夫か?」
鈴江秀夫「なんとか生きています」





本城たちも駆けつけて来ました。






青木順子「里菜ちゃんと家吉くんも大丈夫?」
里菜「打撲程度で済みました」
家吉「メチャクチャ痛いけど」




笹本は原田と村木に連行されて行きました。
そして真琴が意識を取り戻した。






大下真琴「う~ん、ここは俺はどうなっちまったんだ?」
大下勇次「真琴!体は痛むか?」
大下真琴「胸がズキズキする・・・ハッ!笹本は?!」
鷹山敏樹「さっき逮捕したよ、すべて終わった」
大下真琴「そうか、でもどうやって笹本に行き着いたんだ?」
里菜「あんたが教えてくれたんだよ、憶えてないの?」
大下真琴「憶えとらん」






家吉と里菜が話してくれました。
それにビックリ真琴。






大下真琴「テレパシー!?マジかよ?」
家吉「一卵性双生児にしかできないこと」
里菜「私と家吉と真琴にしかできない究極の方法だったのよ」
大下真琴「信じられない」
大下勇次「あれが成功してなきゃホシの見当さえつかなかったし捜査もできなかった」
本城慎太郎「早く現場に戻って来てくれよ、署長がいないとアイディアが浮かばねぇんだよ」
遠山金之助「そうだとも、私と大岡さんじゃ物足りなくて」
大岡忠利「ゆっくり休んで」





大岡たちは廊下に出ました。
真琴の顔を見て安心した様子です。






大下勇次「ごめんな、守ってやれなくて」
大下真琴「笹本は一流のスナイパーだ、そう今回は誰が側にいても変わらなかったよ」
鷹山敏樹「俺も勇次もお前が撃たれたと聞いた時は生きた心地がしなかったよ」
大下真琴「俺も、もうダメかと思ったよ」





徳川たちは廊下で聞き耳を立てていた。





大下勇次「笹本はどうやって真琴の行動パターンを知ったんだろう?」
大下真琴「多分、尾行して何カ月も前から計画していたんだと思う」
鷹山敏樹「だから本庁から出て来た所を狙ったのか」






真琴はうなずきで答えた。
勇次は真琴の頭を撫でた。
そのうちたまらなくなって抱きしめた。





大下真琴「父さん、もう大丈夫だから」
大下勇次「もう少しだけいいだろ、よかった助かってくれて本当によかった」
大下薫「デカ辞めたくなった?」
大下真琴「まさか、こんな楽しい仕事他にないじゃん」
鷹山敏樹「平気みたいだな、安心した」






廊下では徳川たちがハイタッチしていた。






徳川治樹「俺も抱きつきたいが今は親子水入らずにさせてやろう」
徳川宗明「そうだな」




相棒の二人は真琴たちを見ながら話していた。



つづく。