2012年12月18日火曜日

スーパーあぶない刑事14話

      
     『テキーラの女』



BAR PAULSTAR
カウンターの奥では女性が一人テキーラを飲んでいます。




大下勇次「いい女見ぃっけ」
鷹山敏樹「お前妻子持ちだろう」
大下勇次「いいの、たまには遊ばなくちゃ」



と言うと大下はグラスを持って奥で飲んでいる女性に近づきました。




大下勇次「ここ、いいかな?」
女性「どうぞ、テキーラはお好き?」
大下勇次「何でも飲めるさ」




鷹山は大下を見ながら『始まった』と思っていた。
大下と謎の女性の会話が盛り上がって来ました。
そこへ・・・真琴と徳川吉之が来ました。




大下真琴「やっぱりここにいた」
大下勇次「何しに来たんだよ、ここは子供の来る所じゃねぇぞ」
大下真琴「酔っぱらって女口説いている奴が子供に説教すんな」
鷹山敏樹「まったくだ、勇次お前が悪い」




代金は真琴が払いました。



徳川吉之「呆れた奴だ、子供に勘定を払わすなんて」
大下真琴「いつものことだもの」



徳川が大下を背負って家まで運んでくれました。




真山薫「徳川さん、タカさん、真琴、あ~大下さん」
徳川吉之「PAULSTARで女性を口説いていたよ」
真山薫「えっ!」
大下真琴「俺が説教しておいたから」





真琴の言葉を聞いて薫は怒りを抑えてくれました。




真山薫「本当すいません、徳川さん」
鷹山敏樹「勘定は真琴が払ったよ」
真山薫「息子に払わせたの ?!」
鷹山敏樹「あ、俺の分は今返す」




鷹山は自分の分を真琴に返しました。




大下真琴「確かに、送ってくれてありがとう吉之さんも」




徳川はにっこり笑ってうなずいた。




鷹山敏樹「じゃ明日署でな」





と言って鷹山と徳川は帰って行きました。
真琴と薫は勇次をソファーに寝かせて一息ついた。




真山薫「真琴、パパのこと許してやってね」
大下真琴「うん、もう慣れているから」




と真琴が言うと薫は真琴の頭を撫でました。
真琴も薫にくっつきました。




真山薫「ごめんね、私も大下さんも親らしくなくて・・・」
大下真琴「ううん、前に父さんが言っていた、俺がしっかりしているから父さんも母さんもバカでいられるって」
真山薫「アハハハ!そうね、言えてるかも」
大下真琴「でも救われたのは俺の方だ、二人とも俺に一度も幼稚園へ行けと言わなかった」
真山薫「それは・・・」
大下真琴「それに小学校に入学して一週間で不登校になっちゃった時も何も言わなかった」






真琴は幼稚園の頃からいじめられて幼稚園に行くのも嫌だった。
小学校に上がってもおとなしい性格だったため友達が作れなかったのだ。





大下薫「あんたの人生だもん、好きな道を選べばいい、そう思ったのよ」





まぁ普通の両親じゃありませんから・・・
ところが今夜のことが事件の始まりとなっていることにまだ気づかない真琴たちだった。
次の日、港署に出勤すると・・・






吉井浩一「署長、殺しです」
大下真琴「場所はどこ?」
徳川治樹「ビジネスホテル、行くぞ」






全員出動しました。
現場のビジネスホテルに着きました。





大下勇次「ごくろうさまです」





大下たちも中に入りました。






青木順子「被害者は鈴木美香26才OL」






真琴が遺体の顔を見てビックリしました。
なんと昨夜大下が口説いていた女性だったのです。





大下真琴「この人、昨夜PAULSTARでテキーラ飲んでいた人だ」
大下勇次「本当だ、でもどうしてこの人が・・・?」
原田実「死後8時間前後だそうです」
大下真琴「と、いうことは昨夜3時~4時の間に殺されたということだよね?」
徳川治樹「ピンポーン、よく暗算できたな」






安田たちは更に遺体を調べて行きました。






河合紘司「争った形跡はないな、美神くん来てくれ」
美神幸恵「はい、それとこの店とは違うマッチがポケットの中にありました」
安田一郎「絞殺の場合、ほとんどは抵抗した跡が残っているものだけど」
南原裕一「この遺体にはありませんね」





安田たちの話を聞いていた青木たちは・・・





青木順子「被害者眠ってたのよね?」
村木拓「そりゃ三時頃なら普通の人は眠っている時間ですよ」




確かに・・・





田中文男「でも、いきなり首を絞められたら目を覚まして抵抗するだろう」
町田透「それをしなかったと言うことは薬で眠らされていたってことですかね?」
大下真琴「嘱託殺人かも同意殺人とも言うが」





同意殺人。
それは被害者に頼まれて殺すこと、あるいは被害者の同意の上で殺してしまうことを言う。
だがこの時代では珍しいことであった。





大下勇次「昨夜のテキーラが最後の晩餐だったんだ」
吉井浩一「どっちにしても犯人を探さなきゃ、大下」





吉井が大下の肩を叩いた。
大下はうなずきました。
真琴はまだ遺体を見つめていました。





藤村亮「何か気になることでもあるんですか?」
大下真琴「同意殺人だとしたら犯人は恋人かな?」
本城慎太郎「なぜそう思うんだ?」





本城が真琴に聞きました。
すると鷹山が・・・





鷹山敏樹「「ふつう同意殺人なら心を許した人に殺されるものだからな、恋人の線もあるな」





大月や徳川たちも真琴のことを見つめています。
真琴は顔を上げて更に続けました。





大下真琴「根拠は・・・何より彼女の顔が安らかなこと、交友関係を洗うよ」






手分けしてテキーラの女性の交友関係を洗いました。
すると彼氏と名乗る男が港署に来ていると報告が来て戻ったのです。





近藤卓造「署長、彼がその自首をして来た人です」
松本隆「松本隆です、美香は僕が殺しました」
本城慎太郎「ホントかよホントかよぉ!」






他の刑事たちも席から立ち上がりました。
その中でも冷静さを保っているのは真琴と大岡でした。





大下真琴「分かりました話を聞きましょう、どうぞ」





と言って大岡と一緒に取調室に入りました。
宮本課長が大下たちに合図を送った。
大下は取調室に入って・・・






大下勇次「署長、話は俺とナカさんで聞きます」
大下真琴「分かったよろしこ」





真琴と大岡は取調室から出て来ました。





吉本和彦「犯人が自首して来るとは思わんかったわ」
村木拓「なぁ、今までにないケースだよな」
吉井浩一「でも署長は犯人が自首して来ると思っていたみたいよ」
芝夏美「本当ですか?」





真琴はお茶を飲んで一息ついています。






大下真琴「ハァ~」





田中と大下勇次は松本隆から事情聴取を取っています。






松本隆「美香はガンだったんです、医者に余命半年だと宣告されたそうです」
田中文男「それで彼女はそのことを君に話したんだね」
松本隆「はい電話で呼び出されてホテルに行ったら打ち明けてくれて、そしたら彼女が・・・」





そこまで言うと松本はしゃべれなくなってしまいました。
涙が溢れ出て来ていたのです。
涙声で再び語り始めました。






松本隆「僕の手で殺してくれと頼まれました。病気に負ける方が辛いからって」





彼の話を聞いて大下と田中もそれ以上は何も追及はしませんでした。
とりあえず大下が松本に手錠を掛けて留置場へ連れて行きました。
田中は取調べの報告を真琴にしようと来てみると真琴が電話で話をしていました。





大下真琴「「ある程度予想してたけど、そういうことか・・・はいありがとうございます」






電話を切ると田中が取り調べの報告に来ました。





田中文男「署長、取り調べが終わりました」





田中の声が沈んでいます。





大下真琴「ごくろう様」





署内全体に重い空気が漂います。





大下真琴「害者の美香さんはガンだったそうです」
原田実「ガン?!本当ですか?」
田中文男「松本の供述と同じだ」
大下真琴「ああ、都内の総合病院に先月まで入院していた」
田中文男「彼女は退院して余生を過ごしたいという願いを聞いて退院したそうです」
村木拓「ナカさん、彼は何と言ってたんですか?」
田中文男「彼女に頼まれて殺したと言っていた、署長の言う通り同意殺人だ」





田中も辛そうに答えました。





武田英彦「辛いですな」
宮本謙「一番辛いのは手を掛けた松本本人だ」
青木順子「まさかガンだったなんて」
大下真琴「ガンと発覚した時には既に全身に転移してたそうだよ」





真琴はそこまで言うと報告書を書き始めました。
長い沈黙からやっと武田が口を開きました。





武田英彦「ほら、お通夜じゃないんだから、みんな自分の仕事をしろ」




しかしその武田にもいつもの迫力がない。




村木拓「なんか悲しい事件だったな」
原田実「ああ、そうだな」






鷹山はたばこを吸っています。
事の発端はこうだ。
鈴木美香さんは病院でがんを宣告され途方に暮れていました。
そして気が付くと彼とよく来ていた店、PAULSTARの前に立っていたと言うのです。
そこで松本隆に電話して呼び出しバーで一杯
飲んでからあのビジネスホテルで会うことに。
美香さんは松本さんに病気のことと、余命の宣告を受けたことを話した。
そして・・・





鈴木美香「ガンに負けて死ぬくらいなら、あなたの手で殺して欲しい」





と言ったのです。
しかし松本さんは「自分が支えるから」と宥めたが美香さんは再度こう言ったそうです。





鈴木美香「愛する人の手に掛って死にたい」
と・・・





松本さんは涙を流して最初は殺すのをためらっていました。
迷ってる松本さんに美香さんは再度
「あなたの手で私を殺して」と頼んだのです。
松本さんはうなずいて目を閉じて待つ彼女にキスをしました。
そして彼女のクビに手を掛けて絞め殺したと供述したのです。






徳川吉之「真琴が泣いている」





夏美や順子と瞳も下を向いています。
大下がペンを持ったまま泣いている真琴を抱きしめました。





大下勇次「泣いてやれ、彼と美香さんのために」
宮本謙「署長は優しい子だ」
近藤卓造「はい」






こうして悲しい事件の幕が下りました。





緒方雄一「それは辛かったね、よく頑張りましたね」
大下真琴「今日ほど辛い事件はありません、これお願いします」
緒方雄一「はい確かに」





本日はここまで・・・
さて次はどんな事件が起きるのでしょうか?
つづく。

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