2014年5月25日日曜日

スーパーあぶない刑事38話



『署長の非番』




今日、真琴は非番である。
久しぶりにリュックを背負って登校しました。






里菜「真琴、署にいなくていいの?」
家吉「リュック背負ってる、体はもう大丈夫なのか?」
大下真琴「うん、今日非番だから」
生徒A「へぇ~非番って休みってこと?」
大下真琴「そうだよ」






すると生徒たちが真琴の周りに集まって来ました。





生徒B「なぁなぁ、署長ってどんなことすんの?」
生徒C(女)「真琴くん拳銃撃つの?」
大下真琴「えっと・・・一人ずつにしてくんないかな」






真琴はクラスメイトの質問に一つずつ答えて行きました。
担任の坂野先生が入って来ました。






坂野先生「はい、みんな席に着け」
生徒D(男)「先生、真琴が来たんだよ」
大下真琴「幽霊生徒で~す!」
坂野先生「ハハハ!よく来たな気楽にしろよ」
大下真琴「は~い」






この日真琴はふつうの生徒として授業を受けてふつうの生徒として友達と遊びました。
休み時間には外でみんなとドッヂボールをして遊んだ。






家吉「やっぱドッヂボールも強いな」
大下真琴「元々好きだから」
家吉「そうか」






その頃港署では・・・





谷村進「署長、今頃勉強してるかな?」
青木順子「そりゃするでしょ、でっ友達と遊んだりしてエンジョイしてるんじゃない」
村木拓「だけど本当、休まない人ですよね、署長って」
原田実「事件のことしか考えてないもんな」







久しぶりに真琴が子供に戻ってみんなもうれしそうである。







武田英彦「ホラ!署長がいないからってダラダラするな!捜査に行け」







武田に尻を叩かれてみんな捜査に出て行きました。
一方、正門の近くにあるアスレチックでは山崎・辻本・高木・中谷の四人が遊んでいた。






辻本「大下、今日来たな」
高木「ああ、子供バージョンになって無邪気に遊んでるぜ」
山崎「なぁ、あの車朝から止まってるぜ」
中谷「向かいに用がある人が止めているんだろ」
山崎「でも誰も車から降りて来てないぜ」







山崎はずっと見ていたのだ。
それに窓が透明ではないので乗ってる人物の顔が見えないのだ。
四人は顔を見合わせると門を飛び越えて不審な車に恐る恐る近づいて行く。
四人の行動を離れた所から見ている生徒がいた。






中原和彦「真琴、あれ」







クラスメイトの玉手くんが指す方を見る真琴たち。





大野将平「山崎たちだよなあれ、なんで外に出てんだ?」






真琴が南門に近づくと車から黒ずくめの男三人が出て来て山崎らを押し込もうとしていた。







大下真琴「しまった!」







真琴は走って行き投げた小柄が男の一人に“グサ⚡️”と刺さる音がした。
が、もう一人の男が山崎たちを車の中へ押し込んで・・・





謎の男「乗れ」





と、もう一人に声をかけて車で走り去って行ってしまった。
走り去る窓越しから山崎たちが助けを求めている姿が見えた。






大下真琴「なんてこった、和彦、先生に知らせろ」
中原和彦「分かった」






真琴は教室に戻ってランドセルから携帯を取り出して署に連絡した。







吉井浩一「はい港署捜査課、あっ署長、学校の方はどうです?」
大下真琴『それどころじゃないよ、クラスメイトが誘拐された』
吉井浩一「なんですって!」
大下真琴「車の№は控えた、品川つの7544、緊急配備を頼む」
吉井浩一『了解、署長すぐ迎えに行かせます』
大下真琴「よろしこ」






真琴は帰る支度をした。
そこへ担任が来ました。







坂野先生「大下、中原から聞いた、山崎たちが誘拐されたって?」
大下真琴「はい、あいつら門を出て変な車に近づくから捕まっちゃうんだ」
坂野先生「何分前だ?」
中原和彦「五分くらい前、あっとゆう間だったよな」
大野将平「俺たちも見てたもん」
坂野先生「それで刑事さん、どうするんだい?」
大下真琴「今、署に連絡して犯人の車を緊急手配しています」
坂野先生「そうかさすが手際がいいな」






そこへ里菜と家吉が来た。






里菜「山崎たちがいなくなったって?」
家吉「真琴お前デカだろ、行け、シャクだけど、あいつらを助けてやってくれ」
大下真琴「もちろんだ、跡頼むぞ」
里菜「早く行きな、いいよね?先生」
坂野先生「ああ、よろしく頼む」






真琴は微笑むとリュックを背負い会釈をして出て行きました。
南門を出て迎えが来るのを待った。
迎えに来たのは本城だった、村木も乗っています。






本城慎太郎「署長、乗れ」
大下真琴「早かったな、和彦、将平、じゃあな」
大野将平「がんばれよ~」
中原和彦「頼んだぜ」






中原たちは手を振って真琴を見送った。





里菜「真琴なら必ず助けてくれるよ」





里菜が言うとみんなもうなずいた。





村木拓「しかし白昼堂々誘拐するなんて、おったまげですね」
大下真琴「あいつらも悪いんだ、学校抜け出して不審な車に興味本位で近づくから」
本城慎太郎「それで連れて行かれたのか、しょうがねぇ悪ガキ共だな」
大下真琴「しかし助けないわけにもいかねぇからな」






止むを得ず早退しデカに戻ったのだ。






村木拓「署長、預かっていた拳銃とショルダーバッグです」
大下真琴「サンキュー」







真琴は拓から銃を受け取り腰に装着した。
署に戻るとすでに山崎たちの親が来て大騒ぎになっていた。






山崎(母)「ですから早く息子たちを助けて下さいと申し上げているんです」
近藤卓造「今、署長がこっちへ向かっていますから、もうしばらくお待ち下さい」
辻本(母)「あんな子供が本当に署長なんですの?私たちをバカにしてるんでしょ!責任者をお出しなさい!」
宮本謙「バカになんてしておりません、あっ来た、署長!」
武田英彦「丁度今来られましたよ」
大下真琴「武さん、ちょちょっとすいません通して下さい」
高木(母)「あ~!あなた」
大下真琴「ちょっとすいません」






真琴が保護者をかき分けて入って来ました。





大下勇次「悪いな迎えに行けなくて」
大下真琴「あ~いいって慎太郎が来てくれたから」
近藤卓造「署長、みなさん静粛にお願いします」






副署長の近藤が大声で叫ぶと静になった。





近藤卓造「署長、話は聞いてますよね?この方たちにこれからどうするか説明して下さい」
大下真琴「了解、保護者の方々こちらへどうぞ」






山崎たちの母親はソファに通され腰掛けました。





山崎(母)「あなた一体・・・」





と、山崎の母が言おうとすると真琴は座るようジェスチャーで示した。






大下真琴「彼らは俺の目の前で連れ去られました、俺の話を聞いて下さい」





大人らしい対応を取る真琴に母親たちは顔を見合わせた。





高木(母)「息子は休み時間に校庭で山崎くんたちと遊んでいました」
辻本(母)「その時に不審者によって連れさらわれたのですわ」
宮本謙「おかしいですね、校内にいてなぜ攫われるんでしょう?」
山崎(母)「そんなことこっちが聞きたいわよ!」
大野将平「なら教えてやるよ!」
大下真琴「和彦、将平どうしてここへ?」
坂野先生「大下、この二人がどうしてもって言うから連れて来た」






中原と大野は山崎たちの母親に近づき睨みつけた。






大野将平「これは自業自得なんだ、あいつら三人休み時間をいいことに学校の前にずっと止まっている車に近づいて行ったんだ」
中原和彦「そしたら中から黒ずくめの男が三人出て来てあっという間に山崎たちを車の中に押し込んで走り去って行ったんだ」
吉井浩一「それは本当かい?」
中原和彦「ああ、ほとんどの生徒が一部始終見ていたから大騒ぎになったんです」
大下真琴「俺も遠くから見ていた駆けつけた時にはもう犯人たちの車が走り出すとこだったんです」
大野将平「玉手の言う通り自業自得だよ、そんな車に近づかなきゃ誘拐されずに済んだのに」
大下真琴「よせ、三人は俺たちが必ず助ける」
中原和彦「あんな目にあったのにか?」
大下真琴「俺はデカだ公私混同はしない、従って私情も挟まない」







それを聞いて中原と大野は微笑んだ。






大野将平「里菜と家吉の言うことが分かった気がする、お前デカだよ、俺もお前を信じる」
中原和彦「俺もシャクだけど山崎たちを助けてやってくれ」
大下真琴「ああ、任せておけ」






これにはさすがに山崎の親たちも黙ってしまった。
高木(母)「ほ、本当に息子たちを助けてくれるのね?」
大下真琴「ええ、必ず」
宮本謙「うちの署長をどうか信じて下さい」







宮本課長と近藤副署長も立ち上がって山崎達の母親に頭を下げた。





山崎(母)「分かりました」






大下たちは山崎家で犯人からの電話を待つことにしました。
逆探知の準備をします。






吉井浩一「よし、電話が鳴ったら出て下さい、くれぐれも落ち着いて」
山崎(母)「はい」






準備してから5分後電話が鳴った。
4コール目で出た。





山崎(母)「はい山崎でございます」
犯人(声)「お宅の息子を預かっている返してほしければ2千万用意しろ」
山崎(母)「孝博、お願い声を聴かせて!」






再び犯人が電話に出ました。






犯人(声)「いいか2千万だぞ、サツにタレ込んだらガキを殺す!」






と、言うと電話が切れた。
それと同時に山崎母は泣き出した。





山崎(母)「孝博ぉ・・・ううっ」
吉井浩一「逆探は?」
吉田春彦「ちょっと待って下さい、伊勢佐木モール内からです」
原田実「よっしゃ、行きましょう」
大下真琴「待った、そう慌てるなって」
劉警部「マコトサン、ドウシマスカ?」







劉警部・・・そうそう彼らもちゃんと捜査に加わっていますよ。
ここんとこ出番なかったけど・・・






大岡忠利「署長ゆっくり作戦を練って下さい、我々は山崎さんたちと身代金の用意をします」
大下真琴「うん、お願い」






真琴は身代金の受け渡しの時のシミュレーションを頭の中で考えていた。
そして木葉たちに指示を出した。







大下真琴「聡・早希、二人はホシが身代金を受け取ったら尾行してくれ、二人は忍びの末裔だから気づかれずに尾行できるでしょ」
木葉聡「ええ、任せて下さい」






すると真琴は発信機を木葉に渡して言いました。






大下真琴「もしもの時のためにこれホシの車につけておいて」
桐原早希「捲かれた時を想定してのことですね、お任せ下さい」






真琴は笑顔でうなずいて・・・






大下真琴「じゃ頼みます」






と、真琴が言った。
数時間後、身代金の準備が整った。
再び犯人から電話が来た。






犯人A『金の用意はできたか?』
山崎(母)「はい、どちらへお持ちすればよろしいですか?」
犯人A『横浜のエアターミナルのコインロッカーに入れろ目印をつけておく』
山崎(母)「はい、分かりました」







山崎・高木・辻本の母親たちは犯人の指示通り横浜のエアターミナルに向かいました。
タクシーを拾ってトランクにお金の入ったボストンバッグを積みました。
大下・本城・徳川治樹は覆面パトカーを止め真琴たちを乗せ先回りしました。
その頃、ホシの一人がpapaJOSBARから出て来ました。
吉井・町田・田中・谷村・吉田は母親たちの乗ったタクシーを尾行している






町田透「順子さんフォローをお願いします」
青木順子「了解、見失うんじゃないわよ」
町田透「了解、吉田さん」
吉田春彦「任せろ」





横浜エアターミナルに到着。目印があるロッカーを見つけると
お金の入ったバッグを入れて戸を閉め辺りを見回してから去って行きました。





藤村亮「今、奥さんたちがバッグをコインロッカーに入れて行きました」
大下真琴『OK、変わったことない?』
藤村亮「今のところはなし」






大下たちは周りに注意をはらっているとジャンパーを着た二人組の男が、
コインロッカーからお金の入ったバッグを取り出して走り去って行きました。





大下真琴「見失うな、勇次たちは車の準備しろ」
大下勇次「オーライ、すぐ行く」






タクシー乗り場に仲間が乗った車が待っていた。
二人組の男が乗り込むと走り去って行きました。





徳川治樹「署長、乗れ」




真琴は治樹の覆面パトカーに乗りました。





本城慎太郎「人質がいることを忘れんなぁ、しかし奴らどこへ行くつもりなんだ?」






成田の標識が出て来た。






藤村亮「成田から高飛びするつもりですかね?」
本城慎太郎「行き先はどこだぁ?」






成田の駐車場へ入って行く。大下たちも覆面パトカーを止め空港内へ入りました。






青木順子「ホシを確認しました」
本城慎太郎「行き先を確認しろ、署長たちは他に仲間がいないか見張っていてくれ」
大下真琴『配置についているよ、金さん秦奔刑事も一緒だ』
秦奔刑事「鷹山サン、あそこの男拳銃モッテマス」
鷹山敏樹「本当だ、真琴銃を持っている奴が四人いる」






しかし、山崎・高木・辻本らしき三人の姿がありません。






谷村進「妙だなぁ、子供たちはどこにいるんだ?」
大下勇次「まさか殺して来たんじゃねぇだろうな?」
萩原秋夫「いや、そんなリスクは犯さないだろう」

徳川吉之「空港内に監禁したのかもな探そう」





真琴・本城・藤村・徳川治樹はホシたちを見張るため残りました。
劉警部と秦奔刑事も一緒にいます。
芝夏美と倉田園子が受付に成り済ましていました。
そこへ一人の女が現れました。
ここまでは麻生ナオミの時と同じです。
女はパスポートを四つ差し出して来ました。
夏美が確認した。






芝夏美「丹野陽平様、佐伯こずえ様、須王真也様、若林直樹様、行ってらっしゃいませ」
佐伯こずえ「ありがとう」






三人の男と合流するといつの間にか山崎たちが連れて来られていた。





徳川治樹「治樹だ、子供たちを発見、奴らといる」





身代金のバックを一人の男が持っていた。






大下真琴「あのバッグだ、間違いない逮捕に行くぞ」





気づかれぬよう慎重に近づいて行く。
山崎たちは人目につかぬよう椅子とバッグの影に押し込まれていた。
逮捕に踏み出そうとした時片方の男が
真琴たちに気づき更に囲まれていると分かると子供たちに拳銃を突きつけた。







須王真也「動くな!一歩でも動いてみろ、ガキの頭をふっとばすぞ!」
鷹山敏樹「お前らに勝ち目はない、人質を放せ」
大下勇次「タカ、伏せろ!」






別の方向から佐伯こずえが発砲して来た。




“パァン⚡️”





一発の銃声で空港内はパニックになった。





山崎・高木・辻本『たすけてぇ、たすけてぇ』





泣きながら山崎たちが訴える。





大下真琴「三人を解放しろ」
丹野「ほぉ、お前が噂の大下だな」






劉警部と秦奔刑事も銃を構えます。





高木「真琴、助げでぐれよぉ」
大下真琴「日頃の行いが悪りぃからだよ、今助けてやっからビービー泣くな」






とはいえ丹野たちまでの距離は遠い。
夏美と順子は他のお客さんを誘導していた。






遠山金之助「あんな密着していたら狙いが定まらないぜ」
須王真也「道を開けろ!ガキ共をぶっ殺すぞ!」
吉井浩一「人質を解放しろ!」





“バン⚡️”





吉井が交渉しようと前に出るが佐伯こずえに発砲され吉之に引っ張られ間一髪
弾に当たらずに済んだ。






徳川吉之「説得しても無駄だ、撃ち殺されるぞ」
吉井浩一「すいません」
大下真琴「いや、パパ説得を続けてくれ」
大岡忠利「なにか企んでますね?」






大岡に見抜かれ真琴は微笑むと本城と勇次に言った。






大下真琴「三人でかき回す、必ずスキを造るからその間にあいつらを救出して下さい」
原田実「分かりました。俺たちが援護します」
大下勇次「OK、頼んだぞ」







原田・村木・青木・町田・木葉・海堂たちの援護で真琴たちは飛び出して行きました。




遠山金之助「よし、何とかなるかもしれない」






三人は山崎たちを押し倒して庇った。





山崎「真琴、お前」
大下真琴「動くな、頭ふっとばされたくなかったら伏せてろ」






しかしいつ流れ弾に当たってもおかしくない状態である。
勇次と慎太郎はそれぞれ高木・辻本を抱えて柱の陰に隠れていた。





大下勇次「真琴、急げ!」
大下真琴「山崎、体育のマット練習だと思って横に転がるんだ、行くぞ」






もう真琴を信じるしかないと感じた山崎は黙ってうなずいた。
真琴は山崎を庇いながら転がり何とか柱の陰まで辿り着いた。






大月半蔵「二人ともお怪我は?」
大下真琴「大丈夫、半蔵・園子姉さんこいつら頼みます」
倉田園子「お任せを署長、気をつけて下さいね」
大下真琴「うん、みんな準備はいいな?」
全員『オイッス!』
大下真琴「今だ、姐さん半蔵さん、行け!」






今度はいっせいに飛び出して行きました。
佐伯こずえたちは空港の外へ出て行った。





村木拓「あいつら、なにをする気だ?」
徳川宗明「とにかく追うぞ」






本城たちも追いかけて行きました。
駐車場まで来て見失ってしまいました。






松田香苗「見当たらないわ」
鷹山敏樹「この辺に潜んでいるはずだ」
大下真琴「車のミラーを見ろ、動きが見えるはずだ」






真琴の助言でみんなミラーを見ながらホシの動きを確認した。






十文字隼人「確かに動きがよく見える」






“パン⚡️”






丹野「うあっ!」
藤村亮「ハイ、みぃっけ!」






“バァン⚡️”






若林「うぐっ・・・」






あと二人。須王と佐伯だけです。
タカが囮になって動くと須王が姿を現した。
金の入ったバッグも須王が持っていた。





“バン⚡️”






勇次が仕留めた。






須王「うおっ・・・」
大下勇次「あとは女だけだ」
大下真琴「女は俺がやる」






と言うと真琴は歩き出した。
しかし女は弾切れだったのか後ろから真琴の後頭部殴り突けて来た。






“ゴツン💥”






大下真琴「イッタ!うおっ」





かろうじて二撃目は避けられた。






劉警部「あの女、格闘技でやる気らしい」
佐伯こずえ「坊やカンフーの使い手なんだろ、私を倒してごらん」
高野小次郎「あの女自信があるようただな」






真琴は拳銃をしまうと構えた。






大下真琴「この間見た映画でサモ・ハンさんがこう構えていた」
佐伯こずえ「ふ~ん面白いじゃん」






佐伯こずえも構えた。
佐伯こずえは遠慮なく向かって来た。
それを上手く避す真琴
そして蹴りがぶつかり合ってから真琴が自ら体を後ろに倒しながら右足で佐伯こずえの足をはらい倒した。






“ドタン💥”






佐伯こずえ「うっ」





バランスを崩したところで素早く両腕を取り後ろに締め上げた。





佐伯こずえ「アタタタ!」
大下真琴「お前の負けだ」






と、言って手錠を懸けた。






秦奔刑事「お見事です、マコトサン」
大下真琴「謝謝、オラ立て」






立たせて連行して行きました。





大下勇次「あの女もなかなかだが、うちの真琴の敵ではなかったな」





これで一味全員逮捕できました。
山崎たちも無事親の元へ返されました。






大下真琴「あ~あ、俺今日非番だったのになぁ、結局仕事しちゃったし」
大岡忠利「ハハハ!では本部長に頼んで休暇をもらったらどうです?」
大下真琴「それいい考え、忠利さんありがとう」






報告書を提出に県警に行きました。





緒方雄一「休暇届け?」
大下真琴「ダメですか?」
緒方雄一「いいよ~、でも長い休暇になるねぇ」
大下真琴「と、言いますと?」
緒方雄一「ザッと一年半だね」
大下真琴「そんなにあるんですか?!」
緒方雄一「キミどんだけ働くの?少し羽根を伸ばすといい」
大下真琴「それはいわゆる有給休暇というヤツでしょうか?」
緒方雄一「そうだね、仕事は忘れてゆっくり休みなさい」
大下真琴「ありがとうございます」






次に大原刑事部長にも同じことを言われた。






大原功一「真琴くん有給が溜まっているんだけど休む気ない?」
大下真琴「先ほど緒方本部長にも同じ事を言われました」
大原功一「それで?」
大下真琴「休ませていただけるなら留学したいと考えております」
大原功一「ふむ、それは自由に決めなさい、キミの休暇なのだから」
大下真琴「はい!ありがとうございます」






素直に喜んで礼を言う真琴に大原もつい微笑み返してしまった。
そして最後は浅見刑事局長のところです。
オフィスに入ると報告書を提出した。
刑事局長は封を開けて目を通した。






浅見陽一郎「ほぅほぅ、いつもながら手際のいいこと」
大下真琴「あの僕、有給がかなり溜まっているそうなんです」
浅見陽一郎「ええ、知っていますよ、一年半ほど」
大下真琴「やっぱり留学したいと思っているんですけど・・・」
浅見陽一郎「もしかして香港に?」
大下真琴「えっ、どうして分かったんです?」
浅見陽一郎「いや、あなたが行くとしたら香港だろうと思っていました」
大下真琴「本格的にカンフーを習おうと思いまして・・・」




浅見刑事局長はうなずいた。
どうやらすべて見抜かれていたようです。






浅見陽一郎「一つ聞いていいですか?」
大下真琴「はい」
浅見陽一郎「香港へは刑事として行くのですか?それともあくまで個人としてですか?」
大下真琴「両方です、でもせっかくの休暇ですから、子供に戻ろうと思います」
浅見陽一郎「いいでしょう、子供に戻って羽根を伸ばして来て下さい」
大下真琴「ありがとうございます」







あいさつをして治樹と署に戻って来ました。






徳川吉之「真琴、うちのカンフー娘と息子も一緒にいいかな?」
大下真琴「勿論、師匠も久しぶりの母国に帰るからね」
近藤卓造「署長の留守は私と宮本さんと武田さんで守ります」
宮本謙「ご安心下さい」
大下真琴「よろしくお願いします」






ジャッキー・チェンとサモ・ハン・キンポーは快く三人を預かりますと言ってくれました。
飛行機のチケットを取り準備はOKです。
あとは自分たちの用意をすればいいだけです。
その日の夜、真琴・家吉・里菜はそれぞれ出発の準備をしました。





菜美「おこずかい10万ずつね、あとは自分たちで上手く使うのよ」
里菜「えっ、これ三人分?」
菜美「お祖父様からよ、真琴さんにはいつも守ってもらっているからって」
家吉「へぇ~いつも厳しいのに」
里菜「いいとこあるじゃん貴康」





その頃、真琴も・・・





大下真琴「よし、トランクなんて初めて」
大下薫「修業頑張れよ」
大下真琴「うん」



つづく。

スーパーあぶない刑事37話

 『警視庁から来た男』



香港から帰って来た、真琴・里菜・家吉は大下・徳川たち、それぞれの親の元へ帰って来ました。




大下真琴「ただいま父さん、トシさん」
鷹山敏樹「お帰り、荷物持ってやるよ」
大下真琴「ありがとう」
徳川吉之「真琴、二人が迷惑かけなかったか?」
里菜「ひっど~い、パパ💢」
大下真琴「ううん、楽しかったよ」
家吉「ジェイシーとも仲良くなったもんな」
大下真琴「こっちは変わりない?」
大下勇次「あ~いやそのことなんだけど・・・」






勇次が言い難そうにしていると・・・






大下真琴「誰か死んだの?」
徳川吉之「みんな生きてるよ、そうじゃなくて新しい刑事が入ったんだ」
大下真琴「聞いてねぇぞ!」
大下勇次「言ってないもん」
大下真琴「なんで?どういうこと?」






港署に戻ると大原刑事部長が待っていました。






近藤卓造「あっ署長お帰りなさい、大原部・・・」
大下真琴「どういうことか説明してもらえます?」
大原功一「怒ってるね~」
大下真琴「刑事部長💢マジメに聞いてるんです、ただし返答次第じゃただじゃ済まさねぇ!」
大原功一「トレードだよ、南刑事とね、急に決まったことだから説明するヒマがなくてね」
大下真琴「増えるんじゃなくてトレード?つまり南さんを警視庁に呼んで別の人がうちに来たってことですか?」
大原功一「よくできました、その通りです、それならいいでしょ?」






真琴は落ち着きを取り戻し一息ついた。






大原功一「いろいろ面倒見てやってくれ、息子さんと二人暮らしで苦労しているそうだから」
大下真琴「分かりました、怒りに任せて失礼なことを言いました、お詫びします」
大原功一「怒らせたのは私だ気にしないで、じゃよろしくね」
大下真琴「はい」







大原は副署長たちに会釈をして帰って行きました。
振り向くと彼の方からあいさつをして来ました。







萩原秋夫「萩原秋夫38歳巡査部長です、よろしくお願いします」
大下真琴「署長の大下真琴です、13歳、階級は警視長です、よろしくお願いします」
宮本謙「新しく入った人はまず署長とコンビを組むことになっています」
大下真琴「えっ!そんな決まりあった?」
宮本謙「お願いしますよ~」
大下真琴「アイヨー、じゃみんなパトロール行こっか」
みんな『オイッス!行って来ます』






全員出動。
覆面パトカーに乗ると・・・





萩原秋夫「署長と呼んだ方がいいですか?」
大下真琴「真琴でいいです、みんなそう呼んでますから」
萩原秋夫「ふ~ん、行きますか」






覆面パトカーを走らせた。
パトロールでひと回りするとYCCに入りました。
YCCに入ると大下と鷹山がいました。






大下真琴「二人も来てたんだ、禁煙しろって言ったろう、まったく」
大下勇次「ごめん、腹減ってないか?」
大下真琴「うん、なにか食べたい、萩原さんは?」
萩原秋夫「何があるの?メニュー見せて」






鷹山が萩原にメニュー表を渡した。







大下真琴「俺、ハムエッグとサンドウィッチ、飲み物はコーヒー牛乳」
マスター「ハイヨー、坊ちゃん大きくなったね~いくつになったの?」
大下真琴「おかげ様で13歳になりました」
マスター「そっか、あっ、そちらさんは?」
萩原秋夫「ホットドックとミルク」
マスター「アイヨ、ゆっくりしてって」






真琴は勇次と敏樹にズバリ尋ねた。






大下真琴「それで二人は誰を待ってんだ?」
大下勇次「なんのこと?モーニングを食べに来ただけ」
大下真琴「トボケたって無駄だ、今朝釈放された銀星会の幹部を追ってるんだろう?」
鷹山敏樹「どうしてそれを!?」
大下真琴「小さい頃から見て来た俺をみくびるなよ、確か名前は北村だったよな」
大下勇次「そう、でっ目をつけたのがあの窓側の席に座っている女、北村の女だ」







納得した顔で腕を組む真琴。
そこへマスターがお盆を持ってやって来ました。






マスター「ハムエッグとサンドウィッチ、それとそちらさんにホットドックとミルク」
大下真琴「これこれ、いただきます」





萩原もホットドックにかぶりついた。
マスターがミルクとコーヒー牛乳を置いて行った





マスター「ごゆっくり」
大下真琴「ありがとう」
萩原秋夫「美味い、けっこういけるな」






入口の公衆電話が鳴った。
若い店員が出ると客の方を見た。






店員A「飯塚様はいらっしゃいますか?」
女「ハイ、私です」
店員A「お電話です」
飯塚香「ありがとう、ハイ私よ」






女はしばらく話し込んでいた。
すると勇次が赤いスコープがタカを狙っているのを見て叫んだ。







大下勇次「タカ!」






“バン💥パリン⚡️”






銃声がして窓が割れた。
真琴は皿とカップを持ってカウンターの裏に隠れた。
かまわず食べている






“パンパン⚡️パリィン💥”






マスター「うわぁ、助けてくれ」
大下真琴「伏せてろ」
萩原秋夫「暢気に食ってる場合いか!」
鷹山敏樹「いつもこうなんだ、さっさと食え奴らが来るぞ」
大下真琴「ヘェ~ヘェ~」







返事をしながらもマイペースに食べ続けている。





大下勇次「女を消しに来るなぁ」







真琴はようやくサンドウィッチを平らげコーヒー牛乳を飲み干した。







大下真琴「あ~食った食った」






鷹山は香を庇って銃を構えています。
と、そこへ北村が乗り込んで来ました。が・・・





“バン⚡️バン⚡️バン⚡️”






真琴が発砲した。
予想外の方向から反撃を受けた北村はテーブル席に飛び込んだ。






萩原秋夫「いつ銃を抜いた?」
大下真琴「ボヤボヤするな、次が来るぞ」






すると裏口から入って来たのかもう一人厨房から発砲して来た。






“バン⚡️バン⚡️”




男「うっ!」





萩原が発砲してその男は負傷した。
しかし北村はまだテーブルの陰に隠れている。






大下勇次「タカ、そっちから見えるか?」
鷹山敏樹「ダメだ、丸いテーブルにすっぽり隠れてやがる」
萩原秋夫「これじゃ埒があかないぞ」
大下真琴「しょうがねぇな、狙いつけとけよ」






と言うと真琴は拳銃を捨てて手を挙げて立ち上がった。






大下真琴「北村、女は保護した諦めて出て来い」
北村「ガキ?フン、一端の口を利くじゃねぇか」
大下真琴「デカが張っているのが分かっててなぜ乗り込んで来た?利口な策とは思えないが、ふつうなら外で待ち伏せするもんだろう」
萩原秋夫「大原さんの言った通りだ」
北村「急いでるんだ、女を渡せ」
大下真琴「会長の指示で動いてるわけじゃないはずだ、それとも秘かに動く理由でもあるのかな?」
北村「さっさと女を渡せ💢」
大下真琴「断る、お前の事情なんか知るか」
北村「このガキ💢」





“バン⚡️”






北村「うあっ・・・チッ」





勇次が北村の聞き腕を撃った。
真琴は素早く北村を押さえつけて手錠をかけた。






大下真琴「お前バカか、デカが四人もいるところに銃を向けるなんて、敏樹もう一人連れて来い」
鷹山敏樹「ハイ」







真琴は北村を覆面パトカーに乗せた。
萩原は笑みを浮かべてから覆面パトカーに乗った。






萩原秋夫「それにしても肝が据わってますね、銃撃戦中によく涼しい顔してメシ食ってられますよね」
大下真琴「怒ってるの・・・?」
萩原秋夫「まさか感心しました、あんた気に入ったよ」
大下真琴「だんだんやかましくなるとブチギレて暴れちゃうんですよ」
萩原秋夫「不思議な気分だな、今まで他人のことなんか関心なかったのに・・・」
大下真琴「私情に入り込まれるの嫌なタイプでしょ、萩原さんも」
萩原秋夫「その通り、でもあんたには興味がある」
大下真琴「フッ、興味ね~」







署に戻るとすぐに取り調べが始まった。







大下真琴「文ちゃん出番だよ」
田中文男「待ってました」
大下真琴「どんなことをしても口を割らせろ、どうしてもダメな時は俺が代わる」
田中文男「心強い、まぁ私めにお任せあれパパ!」
吉井浩一「ハイハイ、行って来ます」







田中たちのやり取りを見て萩原は大下に聞いた。







萩原秋夫「なぁ、署長っていつもあんな感じなのか?」
大下勇次「刑事の時はあんな感じです、普段は違うけど」
本城慎太郎「さ~て次はあんたの番だ、お嬢名前は?」
飯塚「私は被害者なのよ、なにもしてないのに」
大下真琴「狙われる理由に心当たりは?」
飯塚香「だからないって!なんなのこの子?!」
原田実「署長ですよ、信じられないかもしれませんが」






女性は驚いた表情で真琴を見た






大下真琴「いいリアクションだ、次はあなたの番だ」
飯塚「飯塚香」
村木拓「なんで北村みたいな奴とつき合ってんだ?」
飯塚香「なりゆき、でもまさか殺そうとするなんてね」
本城慎太郎「あんたに心当たりはなくても奴らにはある、今外に出ればまた狙われるよ〜」
飯塚香「そんな!冗談じゃないわよ」
大下真琴「守ってもらいだければ知ってることを全部話せ、どんなことでもいい」






みんなが真琴の方を見た。






町田透「署長、帰国してから変りましたよね?」
青木順子「うん、私もそう思った」
大岡忠利「海外の刑事ドラマに出て来る刑事みたいだ」
遠山金之助「身柄を保護する代わりに捜査に協力しろって言うよね」
松田香苗「言い方もストレートだし」






飯塚香は頭を抱えて迷いながらも口を開いた。






飯塚香「二週間くらい前に北村が組からシャブを持ち出したのよ」





回想シーン。





北村『香、これ預かっといてくれ』
飯塚香『なによこれ?』
北村『中身は知らない方がいい、とにかくお前のとこに隠しておいてくれ』






戻って・・・





鷹山敏樹「なんで組から持ち出したのか聞いたか?」
飯塚香「知らない聞いてない」
大下真琴「今、それ持ってるのか?」
飯塚香「家に隠してある」
大下真琴「敏樹と勇次で彼女の家へ行って回収して来い、連中に先を越されるな」
大下勇次「了解、タカ行こうか」







大下と鷹山は飯塚香から鍵を預かると彼女のマンションへ向かいました。






徳川治樹「真琴、北村はなんで自分の女である香を殺そうとしたんだと思う?」
大下真琴「いい質問だ、誰でも尻に火が点けば動きが大胆になるものだ」
徳川宗明「それ答えになってるの?」






宗明の質問に微笑みで答える真琴に
治樹と宗明は顔を見合わせた。
答えに気づいたのは武田だった。






武田英彦「もし北村の持ち出したことが組にバレたとしたらどうだ?」
谷村進「当然、北村を捕まえて吐かせるでしょうね」
吉田春彦「拷問して口を割らせようとする、でっ追いつめられた北村は女に預けたと言う」
木葉聡「でっ奴らなら、女から取り戻すついでに口を封じろと言うだろうな」
徳川宗明「なるほど尻に火が点くってそういうことか」
大下真琴「だが、これはまだゴールじゃない、ここからが肝腎だ」
海堂進二「何か考えがあるんですね?」
大下真琴「二人が無事に戻ってからだ」






今は待つしかないのである。





遠山金之助「署長、現時点でどこまで考えてるんです?」
大下真琴「そう慌てるなって」






北村の取調べが終わって田中と吉井が取調べ室から出て来ました。






吉井浩一「北村が自供しました、銀星会からシャブを持ち出して女に預けたこと、でっ組にバレて女を消す代わりに助けてくれと言ったそうです」
田中文男「脅されて女を殺すことにした、女のために持ち出したと言って命乞いしたそうです」
徳川宗明「署長の推理通り!」
大下真琴「俺は尻に火が点けば大胆な行動に出ると言っただけだ」
徳川吉之「それがすべてを物語っているじゃないか最初から全部見抜いてたんだろう」
大下真琴「買被り過ぎだよ」






みんなで真琴を見つめています。
真琴は耐えきれなくなって・・・





大下真琴「寝る」






と、言ってソファに横になった。
その頃、飯塚香のマンションに着いた勇次と敏樹は管理人に鍵を開けてもらって中に入りました。
しかしすでに部屋の中は何者かによって荒らされていました。






大下勇次「先手を打たれたな」
鷹山敏樹「ああ、だがまだ見つけたとは限らない探そう」






二人は部屋の中を捜し始めた。
しかし見つかりません。





大下勇次「家の中に大切な物を隠す時、タカならどこに隠す?」
鷹山敏樹「ソファの中とか、あとは・・・」






二人はベランダに置いてある洗濯機に目を付けた。
鷹山がフタを開けて内蓋も開けた。
中には黒いビニール袋が入っていた。
中身を確認すると・・・







鷹山敏樹「勇次、あったぞシャブだ」
大下勇次「急いで署に戻ろう」







鷹山と大下はビニール袋を持ってマンションを出ました。
大下が無線で報告を入れた。






大下勇次「俺だ、北村が隠していた物を回収した、これから署に戻る」
宮本謙「了解、気をつけて戻って来いよ」
大下勇次『そのつもりです』






覆面パトカーに乗り込み大下と鷹山は署へと急いだ。
ところが離れた所から銀星会の人間が二人の様子を見ていた。
車に乗って大下の覆面パトカーを尾行して来た。
その頃、真琴は次の指示を出していた。






大下真琴「慎太郎・実・拓・亮二人を迎えに行ってくれ尾行されてるはずだ」
原田実「どうして分かるんです?」
本城慎太郎「しゃべる前に考えるクセつけな大下たちにブツを見つけさせて奪うつもりなんだよ~」
村木拓「なるほどね」
藤村亮「署長の推理力半端ねぇな!」
原田実「本城さんもね」







四人が迎えに行くと港301が見えた。
その後ろから黒い車が見えた。
助手席の男が大下の覆面パトカーに発砲している。






本城慎太郎「タ~ク、二人を援護するぞ」
村木拓『了解』







本城のミニと村木は大下の覆面パトカーが通り過ぎると行く手を塞いで覆面パトカーを止めた。
透かさず実と亮が銀星会の車に発砲した。






“パン💥パン💥パン💥キキ~🌪”






予想外の銃撃をくらい銀星会の車はUターンして走り去って行きました。






藤村亮「奴ら俺たちが来るとは思ってなかったみたいだな」
原田実「ああ、次どう出るかだな」
村木拓「署長がどこまで読んでいるかだ」
本城慎太郎「相当先まで読んでいるぜ、あいつ」






大下と鷹山は覆面パトカーから降りて来ました。





鷹山敏樹「助かりました」
原田実「署長がお二人を迎えに行けって言ったんで」






六人は無事署に戻って来ました。
タカが持って来た袋を机に置いた。






鷹山敏樹「かなり重いぞ、本当にシャブか?」
武田英彦「開けて確認してみろ」





袋から出すと新聞紙とガムテープでグルグル巻きになっていた。
それをすべて外して中を開くと透明のビニールの中に白い粉状の物が入っていた。






徳川吉之「五キロ以上あるな、これだけでザッと500人くらいにバラ撒けるだろう」
大岡忠利「量を調節すればもっと行けますよ」







その時、署の電話が鳴り武田が出ました。






武田英彦「はい、港署捜査課・・・署長!」
大下真琴「出ます、もっしも~し」
男A『よくも先回りしてくれたな』
大下真琴「シャブはこっちにある、欲しけりゃ取りに来いよ」
男A『あまり舐めた口利くと痛い目に合うぞ』
大下真琴「デカを脅す気か?北村も女も保護してる、その上シャブも俺たちが持っている、お前らに取引する材料なんてないだろう」
男A『学校もうすぐ終わるな、また電話する』






そう言って電話が切れてしまった。






萩原秋夫「学校ってどういう意味だ?」
大下真琴「まさか、里菜と家吉」
倉田園子「すぐ向かいます」
徳川治樹「吉之、俺たちも行くぞ」
徳川吉之「ああ、行って来る」






忍び組と吉之・治樹・宗明は里菜たちの中学校に急行しました。
丁度下校時刻です。






大下真琴「頼む間に合ってくれ」





その頃、中学校では下校時刻の時でした。
里菜と家吉は別々に友達と門から出て来ました。






美佳「ねぇ香港でどんな修業していたの?」
里菜「ひたすら組み手をしてアドバイスもらってって感じ」
千絵「空手より強いと思う?」
里菜「私はカンフーが強いと思う、でも合気道には負けるかも」
美&千『え~なんで?』
里菜「だってセガールさんの映画を見ちゃったから」






と、そんなやり取りをしながら歩いていた。
一方、家吉の方も友達と話しながら昇降口から出て来ました。






裕大「なぁ、ぶっちゃけ妹と、どっちが強いわけ?」
家吉「口でも腕っ節でも里菜が上」
浩明「フリじゃなくて?」
家吉「うん、気の強さは母さん譲りだけど」





門の所まで来ると園子・半蔵・吉之・治樹・宗明が門の所に立っていた。







家吉「あれ?父さんたちだ」
里菜「パパ、みんなどうしたの?」
徳川宗明「よかった、早く乗りなさい訳は後で話す」
千絵「里菜のお父さん?」
里菜「パパと伯父とその同僚たちよ、分かった乗るよ、ごめんまた明日ね」
美佳「うん、バイバイ」
徳川吉之「家吉も早く乗りなさい」
家吉「ああ、じゃあな」






友達と別れて里菜と家吉は覆面パトカーに乗り込んだ。
園子たちは周囲を警戒しながら車を走らせました。
里菜は腕組みをして問い詰めた。






里菜「どういうことか説明してくれる?」
徳川吉之「銀星会がお前たちを狙っているからだ」
家吉「またぁ?まったくもう」
徳川宗明「北村という銀星会の男が組からシャブを持ち出して女の家に預けたんだ」
徳川治樹「でっ北村と奴の女を逮捕しシャブを回収したのはいいんだが、奴ら署長が電話に出た時こう言ったらしい『学校がもうすぐ終わるな、また連絡する』と言って切ったんだ」
里菜「じゃ私たちの帰りを狙ってるってこと?」
徳川吉之「そう、真琴は瞬時にそれに気づいて俺たちを迎えに行かせたってわけ」
家吉「そういうことか・・・しかし迷惑な話だ」
里菜「まったくだ」






先手を打つのに成功した吉之たち。
知らせを受けた真琴たちは安堵した。
しかし油断はできません、次に連中がどんな手を打って来るか?
真琴・大岡・遠山が考えていました。






大岡忠利「藤村と芝は菜美奥様の所へ、吉田と谷村は佳南子さんの所へ行って護衛してくれ」
吉田春彦「分かりました」





谷村たちはすぐに向かいました。





宮本謙「さて、敵はどう出るかな・・・署長、次、我々はどうしますか?」
大下真琴「銀星会の動きを待つ、必ず動き出すはずだ、そうだろ敏樹」
鷹山敏樹「ああ、俺たちは待てばいい」





と、いうわけで本城・原田・大下・鷹山・真琴・萩原・青木・村木・町田・吉本たちは五台の覆面パトカーで銀星会の動きを見張るため事務所の張り込みを開始した。






萩原秋夫「いくつ先まで考えてる?」
大下真琴「俺にその質問の仕方は間違いだ」
萩原秋夫「じゃ何通り考えてる?」
大下真琴「五つくらいかな」
萩原秋夫「それって相手がどう行動するかを予想してるんだよな?」
大下真琴「そうだよ、今までの経験から計算して考えています」
萩原秋夫「常にそんな風に考えて行動しているのか?」
大下真琴「俺が読み間違えたら作戦がパァになるからな」
萩原秋夫「13才にはずい分責任の重い仕事だな」
大下真琴「もう慣れた、7才の頃からやってますから」






萩原は改めて真琴がすごいと感じていた。
同時に感心していた。






大下勇次(声)『真琴、出て来たぞ』
大下真琴「確認した、幹部の岡崎と下っ端の奴だな」
本城慎太郎(声)『俺と実で尾行する』
大下真琴「OK、状況報告を忘れるなよ」
原田実(声)『了解、原田が報告します』






本城の覆面パトカーが発進した。





村木拓「ダブル会長の松本と遠山が出て来ました」
遠山金之助「俺と同じ名字なんて最悪💢」
大月半蔵「確かに親戚だったらもっと最悪ですね」
遠山金之助「俺にヤクザの親戚なんていねぇよ」
大月半蔵「そうですよね、失礼しました」
大下真琴「じゃ金さんたちが尾行して」
遠山金之助「そうしよう、半蔵、車出せ」
大月半蔵「了解」





遠山・大月ペアが尾行に付きました。






徳川治樹「しかし奴ら特に慌てた様子もないな」
大岡忠利「ええ、なにか引っかかりますね」







すると吉之が無線を掴んで藤村たちに聞いた。






徳川吉之「おい町田、そっちの様子はどうだ?」
町田透「三人出て来ました」
徳川吉之「裏口から、じゃ今までの奴はダミーか」
大下真琴「吉之さん落ちついて、拓・順子尾行開始」
村木拓「了解、ドンピシャだな」
青木順子「ええ、拓しっかり掴まってな」







青木は覆面パトカーを走らせた。







大下真琴「敏樹、会長を追いたいだろ順子たちと行け」
鷹山敏樹「感謝するぜ、署長」
大下真琴「谷村さんたちは俺たちと待機、パパもね」
吉井浩一「了解、これだけ残っていれば大丈夫ですよ」
大下真琴「その筈なんだけどね」







ところがその後、事態はとんでもないことに・・・
待機している真琴たちの元に無線が入りました。





大岡忠利『署長、こっちはダミーです』
大下真琴「アイヨ~トシ本物はそっちだ尾行を続けろ」
鷹山敏樹『了解、真琴応援に来てくれよ』
大下真琴「そのつもりシャブと一緒に向かうよ」






しばらくして本城たちの尾行していた車がすべてダミーと分かった。
本城たちは真琴たちに合流するためUターンした。






本城慎太郎『本城、真琴そっちは今どこにいる?』
大下真琴「倉庫街だ遠回りしやがって、早く来ないと先に暴れちゃうよ」
本城慎太郎「す~ぐ行く待ってなぁ」






真琴・萩原ペアは鷹山・大下と合流した。






大下勇次「四人だけか、まっしゃ~ないか」
徳川吉之「いや、七人だ無線を聞いて直行して来た」
萩原秋夫「これなら何とかなりそうだ」






そして一台、また一台と合流して来ました。






吉井浩一「敵は何人いるかな?30人?40人?」
田中文男「これだけ広い倉庫だからもっといるだろう」
大下勇次「そうですね、ブツを運ぶ人手もいるから100人近くもっといるかも」
徳川治樹「おっ来た来た、全員揃ったな、署長策はあるんだろ?」
大下真琴「進二・香苗・実・順子・進・春彦は裏口からあとは中に入ってから分かれる進二たちは裏口付近で待機してくれ」
海堂進二「了解しました」
徳川宗明「ブツも押さえないといけないから慎重に行かないと」
鷹山敏樹「分かってます、行きましょう」







全員拳銃を手にして倉庫内に入りました。
配置に着いたところで真琴が名乗った。





大下真琴「港署捜査課だ違法薬物運輸の現行犯で逮捕する」
松本会長「薬物?どこにそんな証拠があるんです?」
大下真琴「今見せてやるよ、聡・早希」
木葉聡「はい、署長」





聡は箱の中のビニール袋を一つ持って来た。





大下真琴「早希、試験管持ってて」
桐原早希「はい、まさかここで実験するの?」
大下真琴「立証するだけさ、この液体を数滴入れると」
大岡忠利「赤くなった、ということは覚醒剤ってことだ、これが証拠だ」
松本会長「クッソ~💢ブッ殺せ!」
十文字隼人「パターン通りだ」
大下真琴「一人も逃がすな、行くぞ」
全員『オ~!』






そしてこれもまたパターン通り銃撃戦になりました。






鈴村皐月「まったく私たちから逃げられると思ってるのかしら?」
松田香苗「全員とはいかなくても会長だけでも逃がそうとするんじゃない?」
吉井浩一「香苗ちゃんに同感、逃げられればだけど」





すでに真琴の指示で外は封鎖されています。
つまり全員に手錠を掛けないと彼らも出られないのです。







大下真琴「敏樹・勇次・慎太郎・亮は会長らを追え、俺たちはブツを抑える」
大下勇次「OK、行こうぜ」






勇次たちは会長と組員たちを追って行きました。





大下真琴「治樹、吉之こいつでフタを開けろ」






真琴はバールを治樹と吉之に渡した。
二人は蓋をこじ開けて中身を確かめました。







徳川吉之「間違いないこれもシャブだ」
徳川治樹「こっちも同じだビッシリ詰まってる」
萩原秋夫「おい、まだザコどもが残ってるぞ」
大下真琴「全員捕まえる、行くぞ」
吉井浩一「署長、手錠が足りません」
大下真琴「あるよ、これ使え」






真琴は麻の布袋を投げ渡した。
吉井が中身を確認する






吉井浩一「さすが署長!」
谷村進「備えあれば憂いなしですね」
田中文男「ああ、そうだな」







吉井たちは捕まえた者たちに次々と手錠を掛けて行った。






萩原秋夫「やめとけ、お前らに勝ち目はねぇぞ」
大下真琴「時枝、戸村、神谷、せっかくシャバに出たのに務所に逆戻りだな大人しくしてりゃいいものを」
神谷「噂は本当だったんだな」
大下真琴「あっ?」
神谷「大下真琴は父親よりもいや港署一のキレ者だって、みんなビクビクしてるぜ」
大下真琴「フン、煽てたってダ~メ!だがもっとビビらせてやるよ」
村木拓「コ~ワ!ホラ来い」
大下真琴「治ちゃん宗さん、タカたちのとこ応援に行くぞ」
徳川宗明「待ってました!」







その頃、鷹山たちは会長たちと撃ち合っていた。






大下勇次「しぶとい奴らだな」
本城慎太郎「ぶっとびだな」
松本(会長)「しつこい奴らだ、今のうちに殺しておこう」
黒木「そうですね」
大下真琴(声)『そうはさせないぜ』





“バン💥”





黒木「う・・・っ」
大下真琴「俺の部下は一人も殺させない、敏樹チャンスだ会長をヤレ」
松本(会長)「このガキ💢」





“バン💥”





と、銃声が響き渡りました。
撃ったのは鷹山です。
真琴を助けたのです。






大下真琴「お前の負けだ松本、敏樹よくやった」
鷹山敏樹「はい」






鷹山の念願が叶った瞬間であった。
松本に手錠を掛けて連行して行きました。






萩原秋夫「署長、終わったな」
大下真琴「ああ、けぇるぞ」






ブツを押収して署に帰りました。
そして・・・





青木順子「萩原さんどうでした?署長と組んでみて」
萩原秋夫「ふしぎな子だ捜査中の時のカンロクと今とのギャップが・・・」
青木順子「そうでしょう、でもすぐに慣れますよ」
萩原秋夫「だといいけどな」
大下真琴「だから冷蔵庫に入れとけっつたろバカ!クッセ~とっとと捨てろ」
大下勇次「だってゼリーだよ、腐るのが早いよ」
大下真琴「アホか!机の中に一カ月も放置してりゃ腐るに決まってんだろ💢嗅ぐなっちゅうの」
原田実「まるっきりコントだな、ありゃ」
風間明「ああ、親子コントだな」
大下真琴「やめろバカ💢捨てちまえ!」
大下勇次「えぇ~」
大下真琴「腹下しても知らねぇぞ」
萩原秋夫「親子逆じゃない?」
鷹山敏樹「いつもあんな感じ」






親子コント?じゃなくて二人のやり取り見つめる一同だった。
銀星会&竜神会は会長・幹部・下っ端のチンピラを一掃して
ほぼ息の根を止めた形となった。
この日、港署の検挙率が99.9%になりました。






緒方雄一「ええ、やはり彼を署長にして正解でした、はい伝えます、では」






緒方本部長は大原刑事部長と電話で話していました。





大原功一「大下くん、想像以上だあの子は・・・フフ♪」





そして浅見刑事局長も真琴を評価していた。






浅見陽一郎「今の警察には彼のような刑事が必要だ、全警察官を彼に育ててもらいたいくらいだ」
浅見光彦「そうですね、兄さん」






今やみんなが13歳の刑事に希望を持っていた。
警察組織を根元から変えてくれそうだから
強くて、優しい、正義を貫いて官僚の脅しにもバズーカーでふっとばしてしまう
大胆なブッ壊し屋の真琴が必要なのだ。





浅見陽一郎「彼の頼みならどんなムチャでも利いてあげたい」
浅見光彦「兄さんがそんな風に言えてしまうくらいなんですね、彼は」
浅見陽一郎「大原さんや緒方さんの目に狂いはなかった」





画面は港署に戻って・・・





大下真琴「あ~あ、もう知~らない」
大下勇次「いいもん今度は箱買いしてやる!」
大下真琴「好きにしろ、今度は腐らすなよ」
吉井浩一「どっちが親なんだか・・・」



つづく。

2014年5月21日水曜日

スーパーあぶない刑事36話

『留学 -修行編-』




前回、ユン・ピョウとプロデューサーのカール・マックもジャッキーの家に来て
真琴・里菜・家吉は感激していました。
その三人を映画サイクロンZで使った工場に連れて来ました。





里菜「師匠、ここで何をするんですか?」




するとジャッキー・サモ・ハン・ユン・ピョウは笑って・・・





ユン・ピョウ「ここで映画さながらのアクションで修行しようと思って、まず君たちの力が見たい」
家吉「ここで・・・ひょっとして3対3でやるんですか?」
サモ・ハン・キンポー「そう、ローテーションで相手を換えながらね、もちろんちゃんと手加減するから」
大下真琴「フッ燃えて来た、やろうよ、二人とも」
里菜「ええ、サイクロンZの現場でやれるなんて思わなかったけど、おもしろそうじゃん」
家吉「だな、師匠たちよろしくお願いします」
ユン・ピョウ「そう来なくっちゃ!」




はりきるユン・ピョウにジャッキーが耳打ちをした。





ジャッキーチェン(ちゃんと手加減しろよ)
ユン・ピョウ(分かっている、俺たちプロだぜ)
サモ・ハン・キンポー(どうする?誰がどの子と最初やる?)





それは真琴たちの方でも相談していた。



家吉「俺はユン・ピョウさんとやりたい」
里菜「私ジャッキーさんがいい」
大下真琴「丁度いい、俺はサモ・ハンさんがいいと思っていたんだ」
ジャッキー・チェン「決まったかな?それじゃ始めようか」
三人『よろしくお願いします』





真琴たちは師匠たちが並んでいるそれぞれ自分が選んだ人の前に立ちました。





ユン・ピョウ「キミはどっちかな?」
家吉「家吉、双子の兄の方です」
サモ・ハン・キンポー「じゃキミが真琴くん?」
大下真琴「お願いします、うわぁ緊張するぅ」
ジャッキー・チェン「里菜ちゃん、お手柔らかに」
里菜「それはジャッキーさん次第です」





ジャッキーは強気な態度の里菜を見てニコニコ笑っている。
カール・マックが三組を見て言いました。





カール・マック「では、準備はよろしいかな?」
大下真琴「いつでも」
家吉「OKでぇす」




里菜・家吉・真琴は構えた。
それを見てジャッキー・サモ・ハン・ユン・ピョウの三人も構えました。
カール・マックの合図で組手が始まった。





カール・マック「始め!」





真琴たちは同時に相手に向かって行きました。





ユン・ピョウ「ホッ、ヨッ、おっと、この子けっこう強いよ」
ジャッキー・チェン「そりゃそうさ、あらよっと俺の教え子たちだもん」
サモ・ハン・キンポー「お~っと!ヤァ!ありゃ?動きがお前とソックリ」
大下真琴「そりゃそうですよ」
里菜「ビデオを何回も見て」
家吉「研究していますから」





ジャッキーたちは驚きを隠せないでいた。





ユン・ピョウ「本当によく研究して来ているよ」
大下真琴「サモ・ハンさんの動きだって研究しているんですから、例えばこれだ!」





“トンζクルンζ”





後ろ回しで相手の足を絡めて倒すやり方を実戦で使う真琴。




サモ・ハン・キンポー「おおっ!」




手を突いてもバランスを崩さずにアクロバットな動きで立ち上がるサモ・ハンだった。





大下真琴「さすがにすごい」
サモ・ハン・キンポー「やるねぇ、ちょっとびっくりしたよ」
大下真琴「まだまだこんなもんじゃないですよ」
ユン・ピョウ「こっちは同じ動きして来る」
家吉「へへ~ユン・ピョウさんのパターンは研究したもんねぇ」
ユン・ピョウ「フフン♪ならこれはどうかな?ヤァ~!」
家吉「くっうわぁ」





ユン・ピョウの強烈な後ろ飛び蹴りが来た。
家吉はとっさに腕をクロスして防御したがふっとばされて壁に激突した。
ドシンとすごい音がした。





里菜「ヘラヘラ笑っているからだ、バカ!」





慌てたユン・ピョウがすぐに駆けつけて来ました。





ユン・ピョウ「ごめんよ、ケガはないかい?」
家吉「背中打っちゃいました、でも大丈夫です」
ユン・ピョウ「少し休もうか、無理しない方がいい」
家吉「ハイ、じゃちょっとだけ」




壁に寄り掛かって休むことにした。





サモ・ハン・キンポー「あ~あ手加減しろって言ったのに・・・」





真琴の相手をしながら呟くサモ・ハンに自分の攻撃が余裕で躱されていることに気づいた
真琴はちょっとムッとして本気になった。





サモ・ハン・キンポー「おっ顔つきが変わったね」






本気モードになった真琴にうれしそうに笑うサモ・ハン・キンポーはバク転で距離を取って構えると左手を返してチョイチョイと合図をして見せた。
『来い』と言う意味である。




大下真琴「憧れのサモ・ハンさんだけど、アッタマ来た」




真琴も素早くでんぐり返しで接近し足を狙って蹴りを入れた。




サモ・ハン・キンポー「おおっと!」




転ばすのに成功したがその後の攻撃に両足で受け流されてしまうのだった。





大下真琴「チッ、惜しい」
サモ・ハン・キンポー「ソラ行くぞぉ」





最初は攻めに回るサモ・ハンだったがすぐ受け身に回りました。
一見いい勝負に見えます。
だがそれはプロの指導者だから上手く真琴に合わせてくれているのです。





サモ・ハン・キンポー「ストップ、今の動き悪くはないんだけど、背中に回り込まれたら、ちょっとごめんね」





実際に真琴を押さえつけて教えてくれた。





サモ・ハン・キンポー「ホラ、動けないでしょ」
大下真琴「あっ本当動けません、相手がサモ・ハンさんでよかった」
サモ・ハン・キンポー「でも、いい動きしているね」
大下真琴「ありがとうございます」
ジャッキー・チェン「里菜ちゃん強い!」
里菜「研究して来ましたから」
ジャッキー・チェン「よし、今日はこのくらいにしよう」






ジャッキーチェンの号令でこの日の修業は終わった。




ユンピョウ「家吉くんと里菜ちゃんもなかなかいい動きしていたよ」
里菜「ハリウッドスターにそんなこと言ってもらえるなんて感激です」
家吉「俺たちマネしてみたりしてずっと特訓して来たもんな」
大下真琴「俺は捜査で実戦も試せたしラッキーだったよ」




三人ともビデオを何回も見てひたすら動きをマネして細かいところまで研究して来たことを話した。





サモ・ハン・キンポー「そんな風にやっていたんだ」
ジャッキー・チェン「見様見真似であそこまで完璧に動きをマスターしているからびっくりしたよ」





ロケ地からまたジャッキーの家に戻って来ました。




大下真琴「あ~疲れた、でもなんか素直に休めないよね」
里菜「うん、あのジャッキーチェンの自宅にいるんだもん」






奥さんのジョアン・リンと息子のジェイシー・チャンは現在11才だが真琴たちより学年は上である。
ヒップホップなどダンスを習っているらしい。






ジャッキー・チェン「あの子はあまりカンフーに興味がないみたいなんだ」
ジェイシー・チャン「いらっしゃい」
大下真琴「お世話になります」




代表でまことがあいさつした。
おとなしい性格のようです。





里菜「だけどロケ地すごかったね」
家吉「実際に行くとまた雰囲気が違ったよね」
サモ・ハン・キンポー「明日は三人に合わせたい人がいるんだ」
大下真琴「えっ!また誰かに会えるんですか?」
サモ・ハン・キンポー「楽しみにしていてよ」





三人はワァ~!と声を挙げてよろこんだ。
一体誰に合わせてくれるのでしょうか?
この日の夕食はジャッキーの奥さんのジョアン・リンさんが作ってくれました。





ジョアン・リン「ねぇ、あなた達ジャッキーの映画を見て来てくれたんですって?」
里菜「ハイ、最初はテレビのロードショーで映画を見ていたんですが、ジャッキーさんやサモ・ハンさんユン・ピョウさんのアクションに衝撃を受けたんです」
家吉「初めはそれがカンフーだと知りませんでした、映画を見て俺たち空手を習い始めたのです」
ジョアン・リン「あなたもそうなの?」
大下真琴「はい、レンタルビデオ店からビデオを借りてダビングしてもらって見ています」
ジョアン・リン「そこまで熱心に?すごいわ!」





料理を作りながらジョアンは言いました。





ジョアン・リー「ジャッキーはファンを大事にする人だから、もちろん日本のファンの人にもよ、私はそんな彼の優しいところが好きなの」
里菜「男は強くて優しい人がいいですよね」
ジョアン・リー「ええ、本当にその通りよ」





女同士会話が弾みます。





ジョアン・リー「あなたのお母さんはどんな人なの?」
里菜「元レディースの総長で腕っ節の強い人です、ふだんは優しい人なんですけど」
ジョアン・リー「怒ると恐い?」
里菜「母にはあまり怒られたことがないんです、パパにはよく怒られますけど」
ジョアン・リー「あら、どうして?」
里菜「私がお転婆だからです」
ジョアン・リー「女の子は少し気が強いくらいがいいのよ」
里菜「母も良くそう言っています」





それから真琴たちは夕食の時もいろんな話をしました。




ジェイシーチェン「マコトたちはふだん何をしているんだい?」
家吉「俺と里菜は普通の小学生だよ、何度か事件に巻き来まれてるけどね」
里菜「その度に真琴がパパたちと助けに来てくれるの」
ジャッキーチェン「マコトは日本の横浜港署の刑事なんだよ」
サモ・ハン・キンポー「それも署長なんだ、一番偉いんだよ」
ジェイシーチェン「それ本当!?」
大下真琴「ええ、まぁ・・・」





照れながらもクールに答える真琴。






里菜「うちのパパが言っていたんだけど、優秀な刑事で選ばれた人しか受けられないデカIQテストで超天才クラスの250を出したのよ」
ジェイシーチェン「それってすごいの?」
家吉「ああ、選ばれた天才刑事たちのトップになったんだ」
ジャッキー・チェン「すごいな!俺も映画で刑事役やるけど比べ物にならないよ」





真琴は下を向いてしまった。
恥ずかしがっている。





サモ・ハン・キンポー「それで強くなりたかったんだ」
大下真琴「まぁ、それもありますけど」
里菜「私たちがよく事件に巻き込まれちゃうから守るためなんだよね」
大下真琴「どうしてそれを?」
家吉「分かるよ、お前見ていれば、必死じゃん」





真琴は立ち上がって外に出てしまった。
里菜と家吉が追いかけようと立ち上がるとジャッキーが笑顔で待っていてとジャスチャーした。






大下真琴「ハァ~俺は刑事でいたい」
ジャッキー・チェン「いいんじゃない、それで」
大下真琴「びっくりした!」
ジャッキー・チェン「キミは内に何か秘めているでしょ」
大下真琴「そう見えますか?」
ジャッキー・チェン「ああ、キミは優しい子だから誰よりも純粋で正義感が強く頭もいい」
大下真琴「最後だけは違いますよ、頭はよくありません悪い方です」
ジャッキー・チェン「でも信頼されているじゃないか」
大下真琴「確かに・・・でも勉強はできません、早くから社会に出ているからある程度はしてますが」
ジャッキー・チェン「刑事としては天才だってお父さん言っていたぞ」
大下真琴「フッ、父さんが?いつです?」
ジャッキー・チェン「前に空港でお父さんが迎えに来てくれた時、話してくれたよ」






真琴は景色を見ながら聞きました。





大下真琴「なんて言ってました?」
ジャッキー・チェン「日本のことわざで『トンビがタカを産んだ』って言ってたよ」
大下真琴「それうちの副署長もよく言ってます」
ジャッキー・チェン「だからみんなに好かれる」





男同士腹を割って話せたひと時でした。
次の日も三人はジャッキー・サモ・ハン・ユン・ピョウの三人にカンフーを
実戦式で習いました。棒術・チェーンを使ったりヌンチャク・剣
そして太極拳も・・・そんな日々が一年半も続いたのです。
そして月日が経って真琴たちは12歳になりました。





ユン・ピョウ「おめでとう、今日までよく頑張ったね」
サモ・ハン・キンポー「逞しくなったよ、ねっ」
ジャッキー・チェン「うん、日曜日に日本に帰るんだよね」
大下真琴「はい、師匠とみなさんには本当にお世話になりました」
ジェイシーチェン「マコト、イエヨシ、リナ楽しかったよ、日本のアニメも好きになったし」
里菜「ジェイシーも今度日本においでよ、案内するわ」
ジェイシーチェン「うん、父さんと行く」





カール・マックやユン・ピョウたちも来ています。





カール・マック「また来てくれよ映画一緒に撮りたいから」
里菜「本当!出てみたいです」





一年半の間、現場に連れてってもらいましたが出演は断りました。
真琴が断ったのです。帰る準備をしていると奥さんのジョアン・リーが来ました。




ジョアン・リー「マコト、リナ、イエヨシあなたたちは私の息子よ、日本のね、困ったことがあったらいつでも頼ってらっしゃい」
里菜「thank you,mama」
ジェイシー・チャン「三人のことは忘れないよ」
家吉「俺たちも」
サモ・ハン・キンポー「よく厳しい訓練について来てくれたね」
大下真琴「そんな楽しかったですよ、なぁ二人とも」
家吉「うん、そうですよ」
サモ・ハン・キンポー「そりゃすごい!また会おう」
ユン・ワー「私のことまだ恐いかい?」
里菜「ううん、今はとても優しい顔だもん、恐くありません」
ユン・ワー「よかった、私も会いに行くよ」
大下真琴「楽しみにしています、ユンさん」




そして、ユン・ピョウ




ユン・ピョウ「リナの蹴り見事だったよ、もちろんイエヨシも強くなった、マコトはもっと強くなった、また会おう」
家吉「お世話になりました」




ジャッキーたちは空港まで見送ってくれました。





ジャッキーチェン「またすぐに会えるよ、だからサヨナラは言わないよ」
大下真琴「はい、師匠」




日本行きの便のアナウンスが流れました。
案内に沿って搭乗口に歩いて行きます。





ジェイシーチャン「マコト、刑事の仕事ガンバッテ」
大下真琴「ありがとう、ジェイシー、みんな謝謝」
里菜「バ~イ、またね」
家吉「手紙書くから、じゃあね、みなさんありがとう」





機内に入り席に座ると三人は涙を流して泣いた。
日本に帰れば家吉と里菜は中学生になります。
真琴は刑事の仕事が待っています。
カンフーの修行をしてますます強くなった三人。
これからの活躍が楽しみです。
一方、大下・徳川は成田空港へ向かっていました。




鷹山敏樹「真琴、署に戻ったらビックリするだろうな」
大下勇次「暴れるかも・・・」




二人の会話の意味は次回分かります。
成田空港に着いて三人の到着を待ちます。
三人が到着するまであと三時間です。


つづく。

2014年5月13日火曜日

31歳になった

今日は私の誕生日31歳になりました。
結婚したい。相手はいないけど・・・好きな人はいる。
ガラスの仮面のように魂の片割れが本当にこの世のどこかにいるならめぐり会いたい。
私には好きな人がいる、11年経っても忘れられない人
叶わぬ恋だと分かっている。でも「この男になら素直な自分を見せられる、自分らしくいられる」と
思った。でもその人には振られてしまった。身の心も彼にささげる覚悟だったのに・・・
そして24歳の頃小学校の同窓会で再会した人。
確かあれは和民だったかな、飲み会のようなものでそこで遅れて来た男がいて
初めは声を聴いて私の心が反応した。ある男の声にそっくりだったから
もちろん違っていたけど、でもよく知る人物だ。幼馴染の親友で小・中学生の頃はなんとも思ってなかった。私は彼の声を聴いてドキドキしていた。それからはアナ学の彼とその彼の声を比較していた。似ていた。その後フットサルをやった時もドキドキしていた。
あれから8年最近は会ってない。きっと結婚しちゃっただろう。
私の気持ちにも気づいてないはずだ。
でももしどこかで偶然会えたら今度こそ告白しようと思っている。

2014年5月3日土曜日

写メ撮ってみた

休館のはずの児童館から大人の男性の話声が聴こえた。
言ってることは分からなかったがなにやら相談しているような声だった。
それで外に出て写メを撮ってみた。
残念何も写ってなかった~(>_<)