2013年6月5日水曜日

スーパーあぶない刑事33話


                 『痛撃』・手ひどい攻撃・打撃  

その日、真琴は一人で署の近くのスーパーで買い物をしていた。
スーパーを出たところで数人の中学生くらいの少年たちに囲まれた。




少年A「おい、お前大下真琴か?
大下真琴「そうですけど・・・何か用ですか?
少年「ちょっと付き合ってほしいんだけど」




真琴は嫌な予感がして逃げようとすると、
後から両腕を掴まれて連れて行かれてしまった。
その様子を少年課の鈴江がたまたま目撃して跡をつけた。
真琴は学校の体育倉庫まで連れて来られた。




山崎孝博「よぉ、大下真琴、元気そうだな」
大下真琴「山崎、まさか・・・」
山崎孝博「フフ♪今さら気づいても遅いよ」




中学生の一人が倉庫の戸を閉めた。



山崎孝博「やってください」
少年A「オラ!



ドガ💥



大下真琴「うっ、やめろ!」



いきなり中学生の腹に蹴りをくらってしまった。



山崎孝博「今日でデカができない体にしてやるよ」


と、言って少年たちに合図を送った。



大下真琴「やめて、うぅっ!やめ・・・」



マットに血が飛び散っていく
五・六人の少年にボコボコにされていった。
その時、真琴のピンチを感じた里菜たちが探しに近くまで来ていた。




里菜「ここだわ、行くわよ」
家吉「助けなきゃ」
真琴「ゲホ・・・やめて・・・くれ」



そこへ扉が開き里菜と家吉が止めに入った。



家吉「やめろ!真琴から手を放せ!
少年B「こいつと同じ顔!?兄弟か?
里菜「ヒィ!真琴・・・」
少年A「なんだガキ、てめえらもこいつみたいにやられたいのか?
里菜「笑わせんな、返り討ちにしてやる!」




ブチギレた里菜と家吉はいじめっこと中学生たちをボコボコにした。



中学生A「なっ!この女超強ぇ!空手?
里菜「カンフーだクソヤロウ💢」



家吉と里菜はキレてたとは言ってもある程度手加減はしていた。
そして携帯で港署に電話した。
里菜はビデオカメラからテープを抜き取ってポケットに入れた。
そこへ騒ぎを聞きつけた担任が駆けつけて来た。



担任「一体何事だ!お前たち中学生だろう、こんな所でなにしてるんだ!
家吉「遅せぇんだよ先生、真琴くんがこいつらに無理矢理連れて来られてこんな姿にされたんだぞ!
里菜「主犯は山崎だよ、あいつが中学生雇ってやらせたんだ、証拠だってある」
担任「山崎!これは言い訳できないぞ、徳川、証拠って?


里菜は人からビデオカメラを担いで持って来た。



里菜「これに一部始終撮ってある」




ビデオカメラに撮られていたことを知った中学生たちの顔色が青くなった。



坂野先生「大下、ひどいここまで・・・救急車!」



担任の坂野先生はとりあえず真琴を抱きかかえて保健室まで運んでくれました。




南田先生「ひどい内出血はもちろん、かなり吐血したはずだわ」




坂野先生は真琴を里菜たちに任せてまた倉庫へ戻った。
中に入ると真琴が倒れていたマットを外に引っぱり出した。
体育の先生が山崎と中学生たちを職員室に連れて行った。



坂野先生「こんなに!?



真琴は気づかなかったが山崎の他に辻本・高木・中谷といういつも真琴をいじめていたメンバーに加え中学生五人が暴行に加わっていた。
つまり九人にやられたことになる。



仙道先生「坂野先生、大下くんの親御さんには私から連絡入れときました、もうすぐ来るそうです」




そこへ先に呼んだ救急車が到着しました。



南田先生「こちらです」



救急隊員が真琴を診ると・・・



隊員A「これはひどい!内出血3ヵ所にアザだらけ」
里菜「吐血もしてるんです」
隊員B「よし、ゆっくり持ち上げよう、セーノ!




二人の隊員はゆっくりと真琴の体を持ち上げてタンカに乗せて運びました。
付き添いには担任の坂野先生と里菜と家吉が乗り込みました。
その頃、仙道先生は里菜が呼んだ大下に会ったところだった。




大下勇次「先生、息子は?
仙道先生「先ほど救急車で病院に運ばれて行きました」
真山薫「一体何があったんです?
仙道先生「詳しい話は担任の坂野先生と徳川兄妹に聞いて下さい、私から言えるのはそれだけです」
大下勇次「暴行?!どうして誰がそんなことを?中学生も混ざってたんですか?
仙道先生「ええ、後のことは徳川くんと坂野先生にお尋ね下さい」




すると保健の南田先生が真琴の傷の具合を話してくれました。




南田先生「保健の南田です」
真山薫「あっどうも」
南田先生「息子さんは顔面が腫れて特に左目の辺りが酷い腫れようでした、あとは両腕を踏みつけられたようで数名の上履きの跡がありました」
真山薫「骨折とかは?
南田「そこまでは、でもお腹にも足の方にも内出血がひどくて、私は冷やすのがやっとでそれで救急車を呼んだんです」




勇次と薫の顔が暗くなっている。
そこへ担任の坂野と里菜たちが戻って来ました。




坂野先生「すいません、今病院へ送り届けて来た所でして、どうぞ」
大下薫「いえ、ありがとうございます」
坂野先生「この度は息子さんを守ってあげられなくて申し訳ありません、山崎と暴行に加わった少年たちは今、校長室にいます」




すると里菜が顔を出した。



里菜「大下さん、ごめんなさい私たちがもっと早く助けてあげられていれば・・・でも証拠のビデオがあるんです」
家吉「前にも真琴が山崎たちに連れて行かれそうになった時、仕掛けておいたんです」
大下勇次「それは今日の?見せてくれる?
家吉「もちろん、そのために撮ったんだから、これテレビに繋げて下さい」
坂野先生「ああ、分かった」



坂野先生が線をテレビに繋げた。



坂野先生「これでいいはずだ、点けてみろ」
家吉「テレビ」
坂野先生「あ、そっか」



テレビの画面をビデオ2チャンネルに合わせると家吉がビデオをカメラの再生ボタンを押した。
映っている内容は真琴が気を失った状態で倉庫に運ばれて来たところから映って
いました。
そして問題の暴行シーン。
薫はつい目を逸らしてしまった。



大下勇次「これは・・・こんな、あいつ何でやり返さなかったんだ?
里菜「お言葉ですけど、父親のクセにそんなことも分からないの?刑事だからよ!あの子が本気を出したら中学生だろうが高校生だろうが負けやしない、でもこれは捜査じゃなくて真琴自身が狙われてやられたんですよ」
大下薫「なら尚更やり返すべきだわ」
家吉「まだ分かんねぇの?あそこでやり返したら逆にあいつらを病院送りにしかねない、刑事でいたいから手を出さなかったんだ💢」
里菜「恐らくこいつらも真琴の立場を知ってて暴行をやり続けたのよ」




勇次と薫は顔を見合わせた。
そして少し落ち着きを取り戻して里菜と家吉は続けました。




里菜「最初から真琴をターゲットにしてやったのよ、これ真琴が連れて行かれる前に持ってたスーパーの袋です」




中身は三つ入ったおにぎりとサラダに玄米茶が入っていた。



大下勇次「ありがとう」
家吉「署に報告した方がいいですよ」



勇次はうなずくと学校の公衆電話から港署に連絡を入れました。




近藤卓造「はい港署、おっ大下か署長は?何があったんだ?なに!本当か?
大下勇次「冗談でこんなこと言えませんよ、とにかくもうしばらくこっちにいますからタカや本城さんに伝えて下さい」
近藤卓造「分かった、こっちのことは心配しなくていい署長に付いててやれ」
大下勇次()『そのつもりです、では』




電話を切ると刑事たちが近藤の所に集まって来ました。



本城慎太郎「副署長、大下はなんですって?
近藤卓造「スーパーにご飯を買って店を出たところで中学生たちに学校の体育倉庫へ
連れて行かれたらしい」
村木拓「それで?
近藤卓造「暴れんように当て身をくらわせて運び込んで気がついたところを
五・六人の少年に暴行されたそうだ」
吉井浩一「ひでぇことするなぁ」
近藤卓造「里菜ちゃんと家吉くんが駆けつけた時には体中血だらけでマットに横たわって気を失ってたそうだ」
谷村進「なんでやり返さなかったんだ?署長あんなに強いのに・・・」
遠山金之助「刑事だからじゃないのか?だから手を出さないように制御したんだろう」
田中文男「下手にやり返せば自分が加害者になるかもしれないからな」




遠山と田中の意見を聴いて谷村は納得した顔
でうなずいた。




宮本謙「優しい子だからな、しかし怪我の方が心配だな」
武田英彦「ええ、大したことなければいいんですが・・・」



同じ頃、病院では真琴が手当を受けているところだった。




医者「これだけひどい怪我なのに骨には異常がない痣や打撲は多いけど、よほど受け身が上手かったんだね」
真山薫「そうですか」
医者「それでも一週間は安静にしないとね、現場には出ない方がいいね」
真山薫「分かりました」




すると真琴の意識が戻り目を覚ました。




大下真琴「ハッもうブタないで!
真山薫「真琴、ここは病院よもう大丈夫だから」
大下真琴「あっ・・・ツ、体中が痛てぇ」
医者「お大事に署長」
大下真琴「はぁ・・・どうも」



待合室では大下と里菜・家吉・鷹山が待っていた。




鷹山敏樹「勇次、来たぞ」
大下勇次「どうだった?
真山薫「うん、幸い骨は折れてなかったって、ただ痣や打撲がひどいけど」




真琴の腕や足には包帯が捲かれてあった。
顔にもガーゼが貼られていた。



大下薫「全治一週間だって」
大下勇次「じゃ捜査には出られないか」



真琴は生気を失っているかのようにボーッとしている。



鷹山敏樹「薫、とりあえず署に戻ろうぜ、みんなも心配してるし」
大下勇次「そうだな、俺車回して来る、外で待っててくれ」
大下薫「分かった」





薫は真琴の手を握って外に出た。
鷹山もまことの様子を伺っている
大下が覆面パトカーで回って来ました。
薫が先に乗って真琴の背中を鷹山が押して乗せると自分も真琴のとなりに乗り込んだ。



大下勇次「よし、行くぞ」



勇次は車を走らせた。
一方、港署では鑑識の安田と河合が里菜たちが
撮ったビデオカメラをテープにダビングしていた。




安田一郎「ひどいな無抵抗の署長にここまでやるなんて・・・」



担任と校長先生にも立ち会ってもらった。



仙道先生「学校で徳川里菜さんがビデオカメラで見せてくれました」



それ以上は何も言えない。
安田と河合も見入っている。
重いビデオカメラを持ち歩くよりビデオテープにダビングした方が持ち歩きやすいということで里菜が安田に頼んだのだ。
内容は20分だった。しかし真琴にとってはもっと長く感じた地獄の20分だろう
泣き叫美ながら必死で耐えている姿を見て安田と河合も涙ぐんでいた。




河合紘司「さぞかし悔しかったでしょうね」
安田一郎「ええ、でもこれは証拠になる加害者の少年たちの顔もはっきり映っているからな」



ダビングが終わりテープを取り出した。



安田一郎「はい、終わったよ」
里菜「ありがとうございます」



里菜はテープをバッグに入れた。
会釈すると鑑識の作業室を出て行きました。



徳川吉之「里菜、鑑識でなにをしてたんだ?
里菜「ビデオテープにダビングしてもらったの」
徳川宗明「なんで?あ、そっか持ち歩きしやすいようにか」
里菜「そう、これで山崎たちの親を呼び出して見せてやる」



里菜と家吉は真琴の仇を取ると言って帰って行きました。
家に帰ると菜美にも話してビデオを見せた。




菜美「これ!あんたたち助けもしないでビデオ回してたの?
家吉「だって、担任のヤロウ二言目には証拠証拠ってうるさいんだもん」
里菜「私たちだって辛かったよ、すぐに助けてあげたかったけど、でもこれであいつら
も親たちも黙らせることができるんだ、だからお願いママも手伝って」
菜美「証拠を見せるために涙を呑んで撮ったのね?



菜美の問いかけに里菜と家吉はうなずいた。



里菜「これさえあれば教育委員会にも訴えることができるでしょ」
菜美「そこまで計算してたの?!我が娘ながら感心するわ」
家吉「これだけはっきり顔もやっていることも映ってるんだ言いわけなんてできないだろ」
菜美「そうね、いいわママも協力する」



菜美は自分の胸を軽く叩いた。
早速、菜美は署に電話して薫と話した。




大下薫「もしもし? あっ菜美さん、えっ本当に?
菜美「真琴さんには私がヤンキーの時、お世話になったし、更正させてくれた恩人だもの
その恩人を寄ってたかってボコボコにリンチするなんて許せない!悪いようにはしないから一緒に戦いましょ」
大下薫「菜美さん、ありがとう、うんそれじゃ明日」
松村課長「薫くん、菜美さんから?何だって?
大下薫「明日の午後学校へ行って来ます、真琴への暴行のことで緊急保護者会をやるって菜美さんが」
松村課長「そう、そういうことなら行って来なさい」
大下薫「すいません」



真琴は署のソファに座ってボーッとしていた。




吉井浩一「ありゃ重傷だな」
田中文男「無理もない体もだが心のダメージも大きいだろう」
吉本和彦「それにしても今時のいじめってやり方が残酷ですよね」
青木順子「ビデオを証拠にその子達たち逮捕できないかしら?
南旬一「そのガキたち前々から署長のことをいじめてたんだろ」
武田英彦「う~ん、大下や署長本人がどうしたいかにもよるだろうなぁ」
本城慎太郎「しかし、俺たち部下としては黙ってられねぇよな」



それはみんなも同じ気持ちでした。
そしてこの人も・・・




高野小次郎「俺もなにもしてやれなかった、助けに行ってやることも・・・自分が情けねぇ」
十文字隼人「俺もです、署長今度こそ精神崩壊してしまうかも」




真琴には大下と鷹山がついています。



大下勇次「タカ、俺、真琴にデカ辞めさせようかな」
鷹山敏樹「ふつうの子供に戻すの?
大下勇次「学校行かせた方がいいのかなって」
鷹山敏樹「でも学校で毎日いじめられてたから、署に連れて来たんだろう」
大下勇次「うん、でもこのままデカの仕事続けさせていいと思う?
鷹山敏樹「今さらなんだよ、ちょっと早い就職をさせたと思えばいいじゃん、学校がすべてじゃない」
藤村亮「俺も、あんな目に遭ってまで学校なんか行く必要ないっすよ、俺署長が逃げてるなんて思ってませんから」



鷹山と藤村の意見を聞いて大下はまた考え込んだ。



大下勇次「学校でもいじめられ、デカになってもいじめられ正直どうしたらいいのか・・・」
本城慎太郎「一度、署長と学校行って来たらどうだ?
近藤卓造「そうだな、先生と相談して決めればいい、もちろん本人がどうしたいかを踏まえて話し合うんだ」
大下勇次「分かりました」



すべては明日の緊急保護者会で今後のことが決まります。
里菜・家吉・加害者とその親たち、クラスの保護者が集まります。
真琴も参加します。
そしてマル秘ゲストも・・・
次の日、教室で緊急保護者会開かれました。
担任の先生はもちろん、校長先生と教育委員会委員長もいます。




保護者A「あれって教育委員の委員長だそうよ」
保護者B「まぁ一体何事かしら?




無論、山崎たちとその親も出席しています。
坂野先生に保健の南田先生に仙道先生も同席しています。



坂野先生「今日、みなさんに集まっていただいたのには訳があるんです、それはそこにいらっしゃる大下くんの親御さんの御意志で教育委員長にも来ていただきました」



言い終えると坂野先生は里菜と家吉に目配せした。
二人はうなずくとビデオテープをデッキにセットした。



里菜「これからビデオを見てもらいます、今回保護者会を開いた理由はこのビデオの内容にあります」
家吉「では再生します」




家吉がリモコンの再生ボタンを押して忌まわしい暴行現場の一部始終を隠し撮りした内容が上演された。




山崎「よぉ大下真琴、元気そうだな」
大下真琴「山崎、まさか・・・」




気配に気づき振り返ると・・・



山崎「フフン♪今さら気づいても遅いんだよ」
中学生A「オラ!
大下真琴「うっ、やめろ!」
辻本「まだまだ、死ね!
大下真琴「ぐあっ・・・やめて、くれ」
中学生B「ケッ、弱っちいな」



中学生の一人が真琴の腹を踏みつけているところも映っていた。
真琴はうずくまって吐血し動かなくなった。
そこへ家吉と里菜が駆けつけて来たところも映っていた。




家吉「やめろ!真琴から手を放せ!



里菜と家吉が入った来た時には気を失っていた。
家吉は涙ぐみながらもビデオを見ていた。



山崎()「もういいわ止めてちょうだい」
辻本()「もうけっこうです」
菜美「親なら自分の子供に責任を持ちなさい!あなたたちには最後まで見る義務がある」
校長「徳川さんのおっしゃる通りです、最後まで見ましょう」




校長先生の計らいでビデオは最後まで流されました。
終わると静かになりました。



里菜「これがすべてです」




里菜もそれしか言いませんでした。



教育長「この件は教育委員会でも厳しく吟味させていただきます。校長先生よろしいですね?
校長「もちろんです、教育長にお任せします」



教育長が帰ろうと席を立つと・・・



山崎()「待って下さい、息子たちはそこにいる徳川兄妹にハメられたんですわ」
A「そうは見えませんでしたけど」
B「私も、だいたい誰が得するんです?そのビデオだって見たところ編集されてるようには見えませんでしたけど」
辻本()「徳川兄妹に決まってますわ、第一大下くんは学校に通っていないそうじゃないですか」
山崎()「そうですよ、刑事とか言ってるみたいですけど、本当はなにしてんだか?
大下薫「なによそれ!うちの真琴はね立派な刑事です」
徳川菜美「それに真琴さんが学校に来られなくなった原因はあんたらの息子がいじめたからでしょ、そこまで追い込んでおいて開き直ってんじゃないよ💢」




菜美のチーマー節が炸裂した。



家吉「あいつの心は死んでたんだ、それを大下さんや捜査課の刑事さんたちが必死で立ち直られせたんだよ」
里菜「薫さん、山崎たちを暴行と傷害罪で逮捕しちゃいなよ、現実が分かってねぇんだこいつら」
大下薫「それはちょっとどうかしら?



と、薫が迷っていると・・・
大下、鷹山、徳川吉之・治樹・宗明・本城らが入って来た。




徳川吉之「県警からの要請で、山崎・辻本・ならび暴行に加わった少年たちを傷害の罪で逮捕します」



少年たちに手錠を掛ける吉之たち。



徳川宗明「薫さん、あとはあんたに任せる」
大下薫「はい、さぁ行くわよ」



山崎・辻本ならび中学生たちは連行されて行きました。
ビデオテープは証拠品として押収されました。




山崎()「そんな・・・」
坂野先生「山崎さん、辻本さんあなた方は病院に行って大下くんに謝るべきです」
辻本()「待って下さい、そりゃ確かに息子たちの暴行は・・・その悪かったと思います。ですが小学生が学校にも行かず刑事をやってるなんて納得できませんわ」
緒方雄一「その件につきましては私の方から説明致します」
大下勇次「本部長!どうしてこちらへ?
緒方雄一「元々彼を警察官にしたのは私だからね」
教育長「あなたは?
緒方雄一「これは申し遅れました、神奈川県警察署の本部長を務めます緒方と申します、大下真琴くんのことで私の方から説明しておこうと思い参上致しました」




本部長直々のお出ましです。
自ら名刺を配って回りました。



校長先生「では説明をして下さい」
緒方雄一「はい、少々長い話になりますが順を追って説明します。私が大下真琴君に初めて会ったのは彼がまだ4歳の頃です。その時捜査課と少年課で合同捜査をしたと聴いてます、その際に真山刑事が犯人に殴られて真琴くんも一緒に倒れたその時真山刑事の腰から拳銃を持ち出し犯人を撃ったそうです」
坂本先生「お母さんを守るために必死だったんですね」
緒方雄一「はい、すぐに駆けつけた大下刑事は真琴くんから拳銃を取り上げたそうです、その時の真琴くんの顔は大人もビビルほど鋭い顔つきだったそうです」
山崎()「それは分かりました、でもそれなら現在学校に通わせないのはなぜです?
緒方雄一「当時の松本本部長の酔狂で彼を刑事にしたのです、それでも非番の日はちゃんと通っているようですよ」
大下薫「ええ、おっしゃる通りです」
辻本()「前本部長のわがままでとは、どういう意味ですの?




辻本母が本部長に詰め寄りました。



緒方雄一「はぁ、松本さんと私が真琴くんの才能に惚れてしまってんです、彼は推理力・洞察力がズバ抜けてたんです」
山崎()「ウソよ、ただの子供に推理や洞察力なんて・・・マンガじゃあるまいし」
緒方雄一「ウソではありません、でしたらこれに目を通してみて下さい、彼が書いた捜査報告書です」



担任はもちろん他の保護者も目を通しました。




保護者A「確かに子供の字だわ、でも難しい漢字も使ってる」
本城慎太郎「署長は辞書で調べながら一生懸命書いてるんです」
大下勇次「読むのは大人の人だからって本人も勉強になりますしね」




保護者の中にはこのままでいいのではと言う意見が出た。



保護者B「本当は遊んでるんじゃないか、とかいろんな噂があったけど、本当にマジメにやっていたのですね」
保護者C「山崎さん、真琴くんは学校サボって毎日遊びほうけてるって言っていましたよね?あれは全部ウソだったんですね」
保護者D「しかも中学生まで使って暴力を振るうなんて最低ね💢」
保護者たち『そうよそうよ!




他の保護者たちは認めてくれました。




教育長「分かりました、彼らの処分はそこにいる本部長さんにお任せ致します、では解散」



教育長の鶴の一声で真琴の警察に勤めることは認められました。
これで一件落着。
その頃、真琴は署で捜査資料に目を通していました。



近藤卓造「署長、ケガ人なんですから、ゆっくりしてて下さい」
大岡忠利「俺と遠山さんでまとめておきますから」
遠山金之助「そうですよ、ケガした時ぐらい仕事のことは忘れて下さい」
大下真琴「う~ん、もうちょっと、あっ!



金之助に資料を取り上げられてムクレる真琴。



遠山金之助「おい、亮・夏美ちゃん署長をリラックスさせてやって」



藤村は駄菓子の入った缶を持って来た。



藤村亮「これ開けてごらん」



真琴が缶のフタを開けると駄菓子が詰まっていた。


大下真琴「わぁ~うまい棒にわたパチ・よっちゃんイカ、10円ガム・たけのこの里ときのこの山もある」
藤村亮「好きなだけ食べていいよ」
大下真琴「本当!わ~い、どれから食べようかな~」
大下勇次「サンキューな藤村」
藤村亮「少しでも元気になれるようにと思って」



大下は笑顔で答えた。
真琴はモロッコヨーグルを手に取った。



大下真琴「亮くん、これいい?
藤村亮「ああ、好きなのを食べな」
大下真琴「うん!



完全に子供に戻って食べている真琴。




芝夏美「美味しい?
大下真琴「うん」



大下がジュースを持って来た。



大下勇次「ホラ、これも飲め」
大下真琴「ありがとう」
田中文男「やっと子供らしくなった」
遠山金之助「よし、今のうちにやっちゃいましょうか大岡さん」
大岡忠利「そうですね」




遠山と大岡は捜査資料をまとめてファイルに閉じていきました。



大下真琴「次はうまい棒たこ焼き味」



明日、真琴は非番です。
一日をどう過ごすのでしょうか?



大下真琴「ふむ、たこ焼き味もいけるな」




子供に戻れる日。
事件に巻き込まれなきゃいいけど・・・


つづく。