2023年10月10日火曜日

スーパーあぶない刑事52話

 

      『暴走族の小次郎』

 

ある日真琴は一人で外に出ていました。

公園で空き缶拾いをしていると四人の同い年の子供に囲まれてしまいました。

 

 

 

子供A「真琴じゃねぇか、こんなところで一人で遊んでるのかよ?

大下真琴「違うよ、お仕事しているんだ」

子供B「ケッ空き缶拾いが仕事かよ」

子供たち『ギャハハハ!』

子供C「お前、目ざわりなんだよ💢オラ!

 

 

 

と、一人の子が真琴のことを突き飛ばした。

真琴は尻餅を突いてしまいました。

そこに四人で蹴飛ばしにかかって来た。

そこへ通りかかったのが暴走族の集団でした。

 

 

 

 

高野小次郎「おい、ここにいろ俺が行って来る」

 

 

 

と、言って一人の男がバイクから降りて来ると子供たちに声をかけた。

 

 

 

高野小次郎「あれは大下さんとこの、オラクソガキ共💢俺のダチになにしてんだア

💢

 

 

 

一瞬にして顔が凍り付く子供たちがなにも言えないでいると・・・

 

 

 

高野小次郎「おい、このガキ共を頼む」

子分A「ハイ、オラこっち来いや💢

 

 

 

三人の子分に囲まれる悪ガキたちは唇を震わせて怯えている。

子供たちを横目に男は真琴に手を差し伸べると優しい口調で声をかけた。

 

 

 

高野小次郎「大丈夫か?ホラ」

 

 

 

恐る恐る手を伸ばす真琴の手を掴み立たせると服についた砂を手で払ってくれました。

 

 

 

高野小次郎「俺は高野小次郎っつんだ坊主の名前は?

大下真琴「大下真琴です」

高野小次郎「大下?ひょっとして港署の大下さんの息子か?

大下真琴「はい、そうです」

 

 

 

すると小次郎は自分のバイクに真琴を乗せると仲間とガキたちに言った。

 

 

 

高野小次郎「俺、この子を送って行くからそいつら頼む、てめえら今度こいつのことをいじめたら全員海に沈めるからな💢

 

 

 

捨て台詞を吐いてバイクで走り去って行った。

小次郎は真琴を港署まで送り届けた。

 

 

 

高野小次郎「チィース!大下さんはいますか?

松村優子「あら暴走族がうちの署長とどういう関係かしら?

高野小次郎「松村さん、真琴くんが同級生にそのいじめられていたところにたまたま遭遇したものでガキ共を蹴散らして真琴くんを救出して来ました」

大下勇次「本当か?てめえがやったんじゃねぇのか?

 

 

 

と高野のことを疑う父・大下勇次に真琴が助け船を出した。

 

 

 

大下真琴「違うよ、小次郎くんはボクを助けてくれたんだ」

高野小次郎「幸い小突かれた程度なので大したケガはしてません、じゃ俺はこれで」

大下真琴「小次郎くん助けてくれてありがとう」

高野小次郎「フッ、じゃあな」

 

 

 

 

照れながら会釈をして高野は署を出て行きました。

真琴は自分の席に座わると俯いてしまいました。

そんな彼に誰も何も言えずにいると意外にも鷹山が声を掛けた

 

 

 

 

鷹山敏樹「真琴、もうすぐ15時だけどお菓子食べるか?

大下真琴「お菓子?ここにはないでしょ」

鷹山敏樹「お前だけにこの中を見せてやるよ」

 

 

 

 

と、言って手招きをする鷹山、真琴を膝に乗せると一番しての引き出しを開けて見せた。

 

 

 

鷹山敏樹「ジャジャ~ン!

大下真琴「あれ?この間買ったやつだ、どうして?

鷹山敏樹「勇次のところより俺の机に入るから好きなのを食べていいよ」

大下真琴「はい、ではいただきます」

鷹山敏樹「このジュースも飲んでいいよ」

大下真琴「ありがとうトシさん」

 

 

 

 

勇次はジェスチャーで鷹山に『ありがとう』と言った。

鷹山もうなずきで応えた。

真琴はチップスターとマーブルチョコを食べていた

 

 

 

 

鷹山敏樹「いい子だよな、なんでいじめるんだろう?

大下勇次「分からない」

真山薫「大した理由なんて無いのよ気にくわないとかなんでもないようなことがキッカケなのよ、特に子供の場合はね」

町田透「それって残酷ですよね」

鷹山敏樹「そうだな、だから俺はガキが嫌いなんだ」

大下勇次「でも真琴には優しいじゃん」

鷹山敏樹「真琴は俺にとっても子供みたいなもんだから」

 

 

 

 

そう答えるタカの顔つきは穏やかだった。

その時、河野良美の声で指令が入りました。

 

 

 

河野良美「高島埠頭で殺人事件が発生、直ちに現場へ急行して下さい」

大下真琴「行くぞ」

 

 

 

 

真琴の顔が刑事モードになった。

覆面パトカーで高島埠頭へ向かいます。

覆面パトカーの中で真琴は腕組みをして窓の外を見ていた。

高島埠頭に着くと殺人現場は倉庫の前でした。

ブルーシートが張ってありパトカーも数台止まっています。

 

 

 

巡査A「お待ちしていました、こちらです」

 

 

 

ブルーシートを潜ると安田がいました。

 

 

 

安田一郎「害者は山本隆27歳」

大下真琴「この男若いがただ者ではない」

田中文男「なぜそう思うのかな?

大下真琴「たぶん公安のデカだ、足元を見てみろ警棒で応戦しようとしたが返り討ちに遭ってしまったってところだろう」

吉井浩一「この状況を見てそこまで推理するとはキミ本当に子供?

大下真琴「オッホン!まずは公安に連絡しよう」

田中文夫そうですね、課長に頼んで来てもらいましょう」

 

 

 

 

田中の知らせを受けた近藤課長が考案の課長に連絡を取ってくれた。

知らせを受けて公安の課長と仲間が港署にやって来ました。

真琴たちも一度も署に戻りました。

 

 

 

近藤卓造「署長、公安の人たちがお見えになりました」

大下真琴「ありがとう」

 

 

 

 

真琴はソファから立ち上がり姿を見せました。

 

 

 

公安課長「公安の課長を務めております真下です、遺体の確認に来ました」

大下真琴「お待ちしておりました、署長の大下です、こちらへどうぞ」

 

 

 

公安の捜査員たちを遺体安置室に案内した。

 

 

 

真下課長「うちの山本捜査官です、山本・・・くっ!

大下真琴「彼は高島埠頭の倉庫の前で倒れていました、倒れていた近くにはこの警棒が落ちていました」

真下課長「まさか山本までがこんなことになるなんて」

大下真琴「差し支えがなければ遺体を引き取る前に話を聞かせて下さい」

公安刑事D「山本が高島埠頭にいた理由ですね、情報屋から呼び出されたと言って出て行ったんです」

吉井浩一「しかし現場には彼以外誰もいませんでしたがどういうことだ?

鷹山敏樹「罠だったんだ、その呼び出したが」

谷村進「えっ!じゃ偽の呼び出しで誘き出されて殺されたってことっすか?

大下真琴「情報屋を人質に取って山本さんを呼び出して殺されたんだ、上を見ろ」

 

 

 

 

真琴の示すところを見ると別の男が血だらけの状態で上から吊るされていた。

 

 

 

 

町田透「じゃ彼を助けるために山本さんは一人でここに?

公安捜査官「おっしゃる通りだと思います山本さんは人情深い人でしたから罠だと分かっていても彼を助けたかったのでしょう」

真下課長「大下署長連絡をいただいたことには感謝します、しかしこれは公安のヤマです」

大下真琴「俺は何も言ってません港署関内で起きたからこっちで調べるなんて」

吉井浩一「しかし署長・・・」

 

 

 

 

と、言う吉井を制し真琴は続けて真下課長に言いました。

 

 

 

 

大下真琴「公安はアメリが言うとCIAのような組織だ、その実体は謎に包まれている、だが

秘かに社会・公衆の無事と安全のために活躍する集団だ、その捜査官が殺されたのだから黙っていられないでしょう」

真下課長「大下さんあなたは不思議な人だ、大人顔負けのその落ち着いた態度、そして現場の様子だけで公安の捜査官だと見抜く目と頭の回転の速さ、敵には回したくないですね」

大下真琴「立場は違えど同じ法を守る仲間じゃないですか、では跡は任せます」

 

 

 

 

と言って本当に捜査から手を引いた真琴でした。

 

 

 

 

大下勇次「いいのかよ?これで」

大下真琴「だいたいのことは分かったからいい」

 

 

 

 

真下課長と部下の刑事は山本捜査官の遺体を引き取って行きました。

次の日、公安は真下課長を先頭に山本刑事と情報屋の仇を討つため

敵のアジトに乗り込み一人残らず倒して逮捕したのです。

事件が片付くと真下課長が改めてあいさつに来ました。

 

 

 

 

真下課長「改めて御礼に伺いました。おかげで山本の仇が討てましたメンツも守れましたし」

大下真琴「それはよかった、真下さん仲間を大切にして下さいね」

真下課長「あなたに言われると身に沁みます」

近藤課長「これからもお互いに頑張りましょう」

真下課長「はい、本当にお世話になりました」

 

 

 

 

会釈をして真下課長は帰って行きました。

真琴は今回のことを県警の松本本部長にも報告しました。

 

 

 

 

松本本部長「そうですか公安のお手伝いをしたんですね」

大下真琴「お手伝いってほどでは、ただ仲間を失う気持ちはどの刑事も同じですから公安が追っているヤマでしたから捜査権を譲ったまでです」

松本本部長「真琴くんは本当に5歳かい?

大下真琴「そうですよ、どうしてですか?

松本本部長「何と言うかドッシリと構えているというか大人っぽいなぁと思ってね」

大下真琴「そうですか?

 

 

 

 

と、言いながら真琴は首を傾げた。

すると松本本部長は真琴の両肩に手を乗せて真剣な顔で言いました。

 

 

 

 

松本本部長「真琴くん、今、横浜はかなり荒れています、君たちのような刑事が必要なのです力を貸してください」

大下真琴「僕でよかったらメチャクチャ暴れちゃいますけど」

松本本部長「いいでしょう多少のムチャは目を瞑りましょう」

大下真琴「わ~い!頑張ります」

 

 

 

 

 

緒方刑事部長二人のやり取りを黙って聴いていました。

 

 

 

 

松本本部長「真琴くんは大人の刑事より信頼できます」

大下真琴「ありがとうございます」

松本本部長「困ったことがあったらいつでも相談してくれていいからね」

大下真琴「はい」

松本本部長「私も緒方くんも大下くんの味方だから安心してね」

 

 

 

 

 

真琴はうなずきました。

緒方刑事部長も笑顔で真琴を見つめています

この頃の緒方刑事部長も血の気が多く熱くなる時もあったそうです。

それでも松本本部長は見込みがあると思って自分の側に置いて育てようとしているのです。

 

 

 

 

大下真琴「それではこれで失礼致します」

 

 

 

と、あいさつをして出て行きました。

 

 

 

松本本部長「どうだい?彼は」

緒方雄一「はい、本部長のおっしゃる通りこれから警察に必要な子です、どうかまっすぐ育ってほしいです」

松本本部長「彼を見守るのが君の役目だ頼むよ」

緒方雄一「心得ております」

 

 

 

この後、緒方刑事部長は本部長に就任します。

そして真琴の良き理解者の一人として支えてくれます。

自分の目で見て来たからこそ緒方にしかできないことなのです。

 

 

 

つづく。

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