2014年5月21日水曜日

スーパーあぶない刑事36話

『留学 -修行編-』




前回、ユン・ピョウとプロデューサーのカール・マックもジャッキーの家に来て
真琴・里菜・家吉は感激していました。
その三人を映画サイクロンZで使った工場に連れて来ました。





里菜「師匠、ここで何をするんですか?」




するとジャッキー・サモ・ハン・ユン・ピョウは笑って・・・





ユン・ピョウ「ここで映画さながらのアクションで修行しようと思って、まず君たちの力が見たい」
家吉「ここで・・・ひょっとして3対3でやるんですか?」
サモ・ハン・キンポー「そう、ローテーションで相手を換えながらね、もちろんちゃんと手加減するから」
大下真琴「フッ燃えて来た、やろうよ、二人とも」
里菜「ええ、サイクロンZの現場でやれるなんて思わなかったけど、おもしろそうじゃん」
家吉「だな、師匠たちよろしくお願いします」
ユン・ピョウ「そう来なくっちゃ!」




はりきるユン・ピョウにジャッキーが耳打ちをした。





ジャッキーチェン(ちゃんと手加減しろよ)
ユン・ピョウ(分かっている、俺たちプロだぜ)
サモ・ハン・キンポー(どうする?誰がどの子と最初やる?)





それは真琴たちの方でも相談していた。



家吉「俺はユン・ピョウさんとやりたい」
里菜「私ジャッキーさんがいい」
大下真琴「丁度いい、俺はサモ・ハンさんがいいと思っていたんだ」
ジャッキー・チェン「決まったかな?それじゃ始めようか」
三人『よろしくお願いします』





真琴たちは師匠たちが並んでいるそれぞれ自分が選んだ人の前に立ちました。





ユン・ピョウ「キミはどっちかな?」
家吉「家吉、双子の兄の方です」
サモ・ハン・キンポー「じゃキミが真琴くん?」
大下真琴「お願いします、うわぁ緊張するぅ」
ジャッキー・チェン「里菜ちゃん、お手柔らかに」
里菜「それはジャッキーさん次第です」





ジャッキーは強気な態度の里菜を見てニコニコ笑っている。
カール・マックが三組を見て言いました。





カール・マック「では、準備はよろしいかな?」
大下真琴「いつでも」
家吉「OKでぇす」




里菜・家吉・真琴は構えた。
それを見てジャッキー・サモ・ハン・ユン・ピョウの三人も構えました。
カール・マックの合図で組手が始まった。





カール・マック「始め!」





真琴たちは同時に相手に向かって行きました。





ユン・ピョウ「ホッ、ヨッ、おっと、この子けっこう強いよ」
ジャッキー・チェン「そりゃそうさ、あらよっと俺の教え子たちだもん」
サモ・ハン・キンポー「お~っと!ヤァ!ありゃ?動きがお前とソックリ」
大下真琴「そりゃそうですよ」
里菜「ビデオを何回も見て」
家吉「研究していますから」





ジャッキーたちは驚きを隠せないでいた。





ユン・ピョウ「本当によく研究して来ているよ」
大下真琴「サモ・ハンさんの動きだって研究しているんですから、例えばこれだ!」





“トンζクルンζ”





後ろ回しで相手の足を絡めて倒すやり方を実戦で使う真琴。




サモ・ハン・キンポー「おおっ!」




手を突いてもバランスを崩さずにアクロバットな動きで立ち上がるサモ・ハンだった。





大下真琴「さすがにすごい」
サモ・ハン・キンポー「やるねぇ、ちょっとびっくりしたよ」
大下真琴「まだまだこんなもんじゃないですよ」
ユン・ピョウ「こっちは同じ動きして来る」
家吉「へへ~ユン・ピョウさんのパターンは研究したもんねぇ」
ユン・ピョウ「フフン♪ならこれはどうかな?ヤァ~!」
家吉「くっうわぁ」





ユン・ピョウの強烈な後ろ飛び蹴りが来た。
家吉はとっさに腕をクロスして防御したがふっとばされて壁に激突した。
ドシンとすごい音がした。





里菜「ヘラヘラ笑っているからだ、バカ!」





慌てたユン・ピョウがすぐに駆けつけて来ました。





ユン・ピョウ「ごめんよ、ケガはないかい?」
家吉「背中打っちゃいました、でも大丈夫です」
ユン・ピョウ「少し休もうか、無理しない方がいい」
家吉「ハイ、じゃちょっとだけ」




壁に寄り掛かって休むことにした。





サモ・ハン・キンポー「あ~あ手加減しろって言ったのに・・・」





真琴の相手をしながら呟くサモ・ハンに自分の攻撃が余裕で躱されていることに気づいた
真琴はちょっとムッとして本気になった。





サモ・ハン・キンポー「おっ顔つきが変わったね」






本気モードになった真琴にうれしそうに笑うサモ・ハン・キンポーはバク転で距離を取って構えると左手を返してチョイチョイと合図をして見せた。
『来い』と言う意味である。




大下真琴「憧れのサモ・ハンさんだけど、アッタマ来た」




真琴も素早くでんぐり返しで接近し足を狙って蹴りを入れた。




サモ・ハン・キンポー「おおっと!」




転ばすのに成功したがその後の攻撃に両足で受け流されてしまうのだった。





大下真琴「チッ、惜しい」
サモ・ハン・キンポー「ソラ行くぞぉ」





最初は攻めに回るサモ・ハンだったがすぐ受け身に回りました。
一見いい勝負に見えます。
だがそれはプロの指導者だから上手く真琴に合わせてくれているのです。





サモ・ハン・キンポー「ストップ、今の動き悪くはないんだけど、背中に回り込まれたら、ちょっとごめんね」





実際に真琴を押さえつけて教えてくれた。





サモ・ハン・キンポー「ホラ、動けないでしょ」
大下真琴「あっ本当動けません、相手がサモ・ハンさんでよかった」
サモ・ハン・キンポー「でも、いい動きしているね」
大下真琴「ありがとうございます」
ジャッキー・チェン「里菜ちゃん強い!」
里菜「研究して来ましたから」
ジャッキー・チェン「よし、今日はこのくらいにしよう」






ジャッキーチェンの号令でこの日の修業は終わった。




ユンピョウ「家吉くんと里菜ちゃんもなかなかいい動きしていたよ」
里菜「ハリウッドスターにそんなこと言ってもらえるなんて感激です」
家吉「俺たちマネしてみたりしてずっと特訓して来たもんな」
大下真琴「俺は捜査で実戦も試せたしラッキーだったよ」




三人ともビデオを何回も見てひたすら動きをマネして細かいところまで研究して来たことを話した。





サモ・ハン・キンポー「そんな風にやっていたんだ」
ジャッキー・チェン「見様見真似であそこまで完璧に動きをマスターしているからびっくりしたよ」





ロケ地からまたジャッキーの家に戻って来ました。




大下真琴「あ~疲れた、でもなんか素直に休めないよね」
里菜「うん、あのジャッキーチェンの自宅にいるんだもん」






奥さんのジョアン・リンと息子のジェイシー・チャンは現在11才だが真琴たちより学年は上である。
ヒップホップなどダンスを習っているらしい。






ジャッキー・チェン「あの子はあまりカンフーに興味がないみたいなんだ」
ジェイシー・チャン「いらっしゃい」
大下真琴「お世話になります」




代表でまことがあいさつした。
おとなしい性格のようです。





里菜「だけどロケ地すごかったね」
家吉「実際に行くとまた雰囲気が違ったよね」
サモ・ハン・キンポー「明日は三人に合わせたい人がいるんだ」
大下真琴「えっ!また誰かに会えるんですか?」
サモ・ハン・キンポー「楽しみにしていてよ」





三人はワァ~!と声を挙げてよろこんだ。
一体誰に合わせてくれるのでしょうか?
この日の夕食はジャッキーの奥さんのジョアン・リンさんが作ってくれました。





ジョアン・リン「ねぇ、あなた達ジャッキーの映画を見て来てくれたんですって?」
里菜「ハイ、最初はテレビのロードショーで映画を見ていたんですが、ジャッキーさんやサモ・ハンさんユン・ピョウさんのアクションに衝撃を受けたんです」
家吉「初めはそれがカンフーだと知りませんでした、映画を見て俺たち空手を習い始めたのです」
ジョアン・リン「あなたもそうなの?」
大下真琴「はい、レンタルビデオ店からビデオを借りてダビングしてもらって見ています」
ジョアン・リン「そこまで熱心に?すごいわ!」





料理を作りながらジョアンは言いました。





ジョアン・リー「ジャッキーはファンを大事にする人だから、もちろん日本のファンの人にもよ、私はそんな彼の優しいところが好きなの」
里菜「男は強くて優しい人がいいですよね」
ジョアン・リー「ええ、本当にその通りよ」





女同士会話が弾みます。





ジョアン・リー「あなたのお母さんはどんな人なの?」
里菜「元レディースの総長で腕っ節の強い人です、ふだんは優しい人なんですけど」
ジョアン・リー「怒ると恐い?」
里菜「母にはあまり怒られたことがないんです、パパにはよく怒られますけど」
ジョアン・リー「あら、どうして?」
里菜「私がお転婆だからです」
ジョアン・リー「女の子は少し気が強いくらいがいいのよ」
里菜「母も良くそう言っています」





それから真琴たちは夕食の時もいろんな話をしました。




ジェイシーチェン「マコトたちはふだん何をしているんだい?」
家吉「俺と里菜は普通の小学生だよ、何度か事件に巻き来まれてるけどね」
里菜「その度に真琴がパパたちと助けに来てくれるの」
ジャッキーチェン「マコトは日本の横浜港署の刑事なんだよ」
サモ・ハン・キンポー「それも署長なんだ、一番偉いんだよ」
ジェイシーチェン「それ本当!?」
大下真琴「ええ、まぁ・・・」





照れながらもクールに答える真琴。






里菜「うちのパパが言っていたんだけど、優秀な刑事で選ばれた人しか受けられないデカIQテストで超天才クラスの250を出したのよ」
ジェイシーチェン「それってすごいの?」
家吉「ああ、選ばれた天才刑事たちのトップになったんだ」
ジャッキー・チェン「すごいな!俺も映画で刑事役やるけど比べ物にならないよ」





真琴は下を向いてしまった。
恥ずかしがっている。





サモ・ハン・キンポー「それで強くなりたかったんだ」
大下真琴「まぁ、それもありますけど」
里菜「私たちがよく事件に巻き込まれちゃうから守るためなんだよね」
大下真琴「どうしてそれを?」
家吉「分かるよ、お前見ていれば、必死じゃん」





真琴は立ち上がって外に出てしまった。
里菜と家吉が追いかけようと立ち上がるとジャッキーが笑顔で待っていてとジャスチャーした。






大下真琴「ハァ~俺は刑事でいたい」
ジャッキー・チェン「いいんじゃない、それで」
大下真琴「びっくりした!」
ジャッキー・チェン「キミは内に何か秘めているでしょ」
大下真琴「そう見えますか?」
ジャッキー・チェン「ああ、キミは優しい子だから誰よりも純粋で正義感が強く頭もいい」
大下真琴「最後だけは違いますよ、頭はよくありません悪い方です」
ジャッキー・チェン「でも信頼されているじゃないか」
大下真琴「確かに・・・でも勉強はできません、早くから社会に出ているからある程度はしてますが」
ジャッキー・チェン「刑事としては天才だってお父さん言っていたぞ」
大下真琴「フッ、父さんが?いつです?」
ジャッキー・チェン「前に空港でお父さんが迎えに来てくれた時、話してくれたよ」






真琴は景色を見ながら聞きました。





大下真琴「なんて言ってました?」
ジャッキー・チェン「日本のことわざで『トンビがタカを産んだ』って言ってたよ」
大下真琴「それうちの副署長もよく言ってます」
ジャッキー・チェン「だからみんなに好かれる」





男同士腹を割って話せたひと時でした。
次の日も三人はジャッキー・サモ・ハン・ユン・ピョウの三人にカンフーを
実戦式で習いました。棒術・チェーンを使ったりヌンチャク・剣
そして太極拳も・・・そんな日々が一年半も続いたのです。
そして月日が経って真琴たちは12歳になりました。





ユン・ピョウ「おめでとう、今日までよく頑張ったね」
サモ・ハン・キンポー「逞しくなったよ、ねっ」
ジャッキー・チェン「うん、日曜日に日本に帰るんだよね」
大下真琴「はい、師匠とみなさんには本当にお世話になりました」
ジェイシーチェン「マコト、イエヨシ、リナ楽しかったよ、日本のアニメも好きになったし」
里菜「ジェイシーも今度日本においでよ、案内するわ」
ジェイシーチェン「うん、父さんと行く」





カール・マックやユン・ピョウたちも来ています。





カール・マック「また来てくれよ映画一緒に撮りたいから」
里菜「本当!出てみたいです」





一年半の間、現場に連れてってもらいましたが出演は断りました。
真琴が断ったのです。帰る準備をしていると奥さんのジョアン・リーが来ました。




ジョアン・リー「マコト、リナ、イエヨシあなたたちは私の息子よ、日本のね、困ったことがあったらいつでも頼ってらっしゃい」
里菜「thank you,mama」
ジェイシー・チャン「三人のことは忘れないよ」
家吉「俺たちも」
サモ・ハン・キンポー「よく厳しい訓練について来てくれたね」
大下真琴「そんな楽しかったですよ、なぁ二人とも」
家吉「うん、そうですよ」
サモ・ハン・キンポー「そりゃすごい!また会おう」
ユン・ワー「私のことまだ恐いかい?」
里菜「ううん、今はとても優しい顔だもん、恐くありません」
ユン・ワー「よかった、私も会いに行くよ」
大下真琴「楽しみにしています、ユンさん」




そして、ユン・ピョウ




ユン・ピョウ「リナの蹴り見事だったよ、もちろんイエヨシも強くなった、マコトはもっと強くなった、また会おう」
家吉「お世話になりました」




ジャッキーたちは空港まで見送ってくれました。





ジャッキーチェン「またすぐに会えるよ、だからサヨナラは言わないよ」
大下真琴「はい、師匠」




日本行きの便のアナウンスが流れました。
案内に沿って搭乗口に歩いて行きます。





ジェイシーチャン「マコト、刑事の仕事ガンバッテ」
大下真琴「ありがとう、ジェイシー、みんな謝謝」
里菜「バ~イ、またね」
家吉「手紙書くから、じゃあね、みなさんありがとう」





機内に入り席に座ると三人は涙を流して泣いた。
日本に帰れば家吉と里菜は中学生になります。
真琴は刑事の仕事が待っています。
カンフーの修行をしてますます強くなった三人。
これからの活躍が楽しみです。
一方、大下・徳川は成田空港へ向かっていました。




鷹山敏樹「真琴、署に戻ったらビックリするだろうな」
大下勇次「暴れるかも・・・」




二人の会話の意味は次回分かります。
成田空港に着いて三人の到着を待ちます。
三人が到着するまであと三時間です。


つづく。

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